サンウルブズが屈辱の完封負け NZハイランダーズに52点差惨敗
強豪のハリケーンズ相手に健闘して約1万7000人の観客から大きな拍手を浴びてから一週間後、秩父宮ラグビー場はため息に包まれた。日本チームのサンウルブズは4月26日、ニュージーランドから来日したハイランダーズに0-52で完敗。スーパーラグビーに参戦して4季目、無得点で敗れたのは今回が初めてである。
「ゲームが始まって、選手たちのメンタル的な準備ができていなかったと感じた。しっかり100%の力が出せずにニュージーランドのチームと戦えば、50-0の試合になる、ということ。がっかりした」
試合後、サンウルブズのトニー・ブラウン ヘッドコーチはそう語った。
一方、勝ったハイランダーズのルーク・ホワイトロック共同主将はこう振り返った。
「サンウルブズは危険なアタックを仕掛けてくるチーム。2次、3次の攻撃は気をつけなければならなかった。今日はセットピースからのディフェンスがうまくいったことで、その後のディフェンスも優位に運べたと思う。いいボールを出させなかった」
この試合、サンウルブズは攻守ともに良さを発揮できなかった。タックルミスは42回。ハイランダーズに8トライを奪われた。
前半はハイランダーズがボール支配率、テリトリー獲得率でも60%を超え、ゲームの主導権を握った。
「サンウルブズはしっかり戦ってくるチームだし、アタックも危険。分析も準備も万全で臨んだ」(ハイランダーズ/アーロン・メイジャー ヘッドコーチ)
ハイランダーズは前半5分、LOトム・フランクリンが突破してSHアーロン・スミスにつなぎ、ゴール前のオフロードから再びフランクリンがボールを手にして先制トライを挙げた。12分にはテンポよくつないでPRタイレル・ロマックスがフィニッシュ。14分にはゴール前のPKから速攻でボールを動かし得点した。LOフランクリンやHOリーアム・コルトマンなどFWもよく走るハイランダーズは敵陣で攻める時間が長く19分にも加点すると、32分にはラインアウトからモールで押し込み、33点差をつけて折り返した。
ハーフタイム、サンウルブズのブラウン ヘッドコーチは「セットプレー、コンタクトエリアでの強さをしっかりと出して、自分たちのゲームをしよう、スペースへボールを運ぼう」と伝えた。
そして後半アタマから3人のリザーブを投入して流れを変えようとし、攻めて敵陣深くに入ったが、決め手を欠いた。接点ではフィジカル強いCTBラーボニ・ウォーレンボスアヤコ(本来はFW3列の選手)も相手LOジャクソン・ヘモポに捕まえられ自由にさせてもらえなかった。
57分(後半17分)にはFB山中亮平のビッグゲインがあったがチャンスを活かせず、68分にはディフェンダーをひきつけたCTB田村優からボールをもらったWTBセミシ・マシレワが抜けゴールに持ち込んだが、TMO(テレビジョン・マッチ・オフィシャル)でラストパスがスローフォワードだったことが確認され、ノートライ。
後半、ハイランダーズが3トライを重ね大差をつけられたサンウルブズは、試合終了間際、FB山中とWTBゲラード・ファンデンヒーファーの好走で敵陣深くに入ったものの、ボール継続は途切れ、無念の完封負けとなった。
サンウルブズのゲームキャプテンを務めたLOトンプソン ルークは、「自分たちの状態をベストにして臨むことができなかった。ハイランダーズのプレッシャーを感じ、受けてしまった」と反省した。
サンウルブズはこのあとオーストラリアで2連戦となり、次週(5月3日)はブリスベンでレッズと対戦する。