コラム 2019.04.16
【ラグリパWest】6人からの再スタート 常翔啓光学園

【ラグリパWest】6人からの再スタート 常翔啓光学園

[ 鎮 勝也 ]
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 川村も部員の体力強化に余念がない。
「体を作ることは大事にしたいです」
 部費から補助を出して、学生食堂とタイアップ。親睦を深めるため、朝は160円の豚汁を全員で食べる。昼は410円のおかずを出してもらう。白ごはんを1回2合、計4合を各家庭から持参させている。

 保護者の金銭的な負担も考えて、極力バッグやウエアーなどもそろえなくなった。
「お金のかかることがハードルにならないようにしようと思っています」
 練習ジャージーなどは引退した部員たちのおさがりを使ったりしている。

 新しい試みをしながらも、練習では「リップ・ガット」など伝統的攻撃を忘れない。
 最初が当たり、2人目がもぎ取り、3人目がそのボールをトップスピードでもらう。
「2人目は肩から当たらないと」
 川村は手を腰の後ろでつなぎ、高校生たちに流れるような模範を見せる。

 よりよい継承のためには、多くの新入生に楕円球に触れてもらう必要がある。
 入学式は4月6日にあった。

 リーダーの大津直人は決意を口にする。
「休み時間も教室を回って、勧誘します」
 1年生は中学より10クラスほど増える。
「10人は入ってくれると聞いています」
 川村の表情は明るい。その人数が集まれば、単独チームとして復活する。

 大津も咋冬に退部しなかった。
「一緒にやめてしまったら、今までやってきた意味がなくなります」
 この中学で競技を始め、昨年は少人数制の大阪選抜に入った実績もある。スピード豊かなセンターだ。
「秋は常翔啓光として単独で出たいです」

 クラブ、学校、そして時代も変わる。
 大切なのは、その変革にどう対応していくか、ということだろう。
 川村ら顧問、そして6人の部員たちはその難問に真正面から取り組んでいる。


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