コラム
2019.04.15
【ラグリパWest】哲学を持つ。
哲学を持つ指導者は絶えない。
湯浅大智。
今年38歳。若き東海大大阪仰星の監督は以前、「エア・モール」で賛否が分かれた時、鮮やかに言い切った。
「それはLawの精神に反します」
Law=ロウとは法律の意味だが、ラグビーでは行動規範と訳されることが多い。
ラインアウトでモールが形成されれば、わざと組まず、押させる。程よいところまで誘い込んでおいて、一気に崩して止める。
湯浅は違う。ボールの投入時点でコンテストは始まっている。そのモールに瞬時に圧力をかけないのは、争奪をひとつの旨とするラグビーではない、という考え方である。
湯浅は仰星の全国優勝5回、歴代5位の記録にすべて絡む。選手とコーチで1ずつ、監督として3。自身の中にある哲学がそれらを引き寄せたとは言えまいか。
仰星は3月の近畿大会で2位。それに続く選抜大会では、8強戦で準優勝する御所実に14-26と敗北した。近畿大会では36-12と快勝した雪辱を受ける。
選抜後にショートメールが届いた。
<残念ながら敗れてしまいました。出直します。足りない部分が明確になりました>
仰星は昨年、全国大会にすら出られなかった。府予選決勝で常翔学園に7-54。連覇の夢は大差でついえた。しかし、トップレベルのチームをまた、作り上げてくる。
春4月、桜吹雪に迎えられながら、新しく教える側にまわる人たちもいるだろう。
勝ち負けはもちろん大事。しかし、勝敗を超えて残るのはチームであり人である。
哲学を持つ。
明確な自分自身の指標を作る。
それは、小手先のテクニックを身につけさせるより大切なことである。