【ラグリパWest】トップレフリーの卵として。 古瀬健樹/東福岡高校
競技を始めたのは中学入学後。ポジションはフッカーだった。中3の夏に引退する。
その後、後輩たちの試合を見ていると、顧問の宮田耕太郎にすすめられる。
「レフリーをやってみたら?」
そこで試した。はまってしまう。
「プレーヤーをしていたら、見えないことが見えます。ここのスペースが空いている、とか。それがおもしろかったのです」
楽しさは隠れた才能を引き出す。
高校コーチの稗田新もその異能に気づき、参加をもちかけた。
レフリーなら平日の授業を優先できる。
「出られるのは水と木曜くらいですね。あとは週末になります」
グラウンドに行けない日も含めて、ほぼ毎日、時間を見つけてYouTubeなどでトップリーグや欧州6か国対抗などを見る。レフリーの動きに注意を払う。
昨年末、ユースレフリーのためのTID(Talent IDentification=人材発掘・育成)に参加した。12月28、29日の2日間、大阪に滞在する。出席者は7人。高校生は古瀬のみ。もちろん最年少だった。
初日は高校全国大会の1回戦を花園で見て、レフリーのパフォーマンスを学ぶ。
2日目は実践。東海大大阪仰星と関西大学北陽を回り、同世代の練習マッチを吹いた。講師として加わっていた久保は振り返る。
「頭がいいんですよね。僕たちが話したことを理解してくれます。そして、それをすぐ形に出せる。これはなかなかできません」
古瀬はレフリーとしての信条を話す。
「タイミングです。選手が笛を吹いてほしいところで吹けるかどうか」
まずプレーヤー・ファースト。そして、試合の制御も口にする。
「仮に反則があったとしても、それがどれくらい試合に影響するのか、ということを見極めた上で笛を吹きたいと思っています」
最終目標は決まっている。
「ワールドカップに参加できたら」
過去8大会で審判団に入った日本人は3人のみ。レフリーは1995年の斉藤直樹。アシスタント・レフリーは1991年の八木宏器と1999年の岩下眞一だけだ。
ターゲットは難しい。
だからこそ、やりがいはある。
「栴檀(せんだん)は双葉より芳し」。
17歳の古瀬には、スペシャルで厳しい世界を突き詰めて行けそうな期待感が漂う。