コラム 2019.03.27
【ラグリパWest】「本当にいい男」(上) 藤田雄一郎/東福岡高校監督

【ラグリパWest】「本当にいい男」(上) 藤田雄一郎/東福岡高校監督

[ 鎮 勝也 ]



 監督としてこの4月から8年目に入る。その間、花園を2回制した。
 それまで14年間、前任監督の谷崎重幸の下でコーチをつとめる。花園3連覇を受け、2012年4月にバトンを受けた。

 藤田がラグビーを始めたのはこの高校入学後。それまで続けていた野球よりも、試合中の監督の指示が少なく、自由に映った。

 楕円球の手ほどきをしてくれた谷崎への尊敬は今も変わらない。
「先生は常に生徒のことを考えておられました。選手ファースト。自分もそうなりたい」

 高3時の70回全国大会(1990年度)ではナンバーエイトとして花園の芝を踏む。2回戦で島本(大阪)に9-10で惜敗した。
 同期には後年、日本代表に呼ばれるスクラムハーフの鬼束竜太(現サニックスアシスタントコーチ)がいた。

 卒業後は地元の福岡大に進学し、1年からフランカーでレギュラーをつかむ。
 2学年下の檜室秀幸は藤田との最初の会話をよく覚えている。ラグビー継続を迷い、秋に入部したため、冬のテスト期間中もウエイトをしていた時だった。

「おまえ、なによ?」
 1年生の檜室です。遅れを取り戻すため自主練習をしています。
「おお、そうか。じゃあ一緒にやろう」
 上下関係や入部時期のこだわりは一切なく、仲間として共に体を鍛える。
「先輩としても、指導者としても、尊敬する存在です」
 檜室は今、宮崎の高鍋の監督だ。就任してから5年の間、花園出場を一度も途切れさせていない。

 高鍋も東福岡とともに選抜に出場する。
 九州大会の5位決定戦で大分東明を49-14で下した。
「藤田さんは勝った時に、『よかった。お祝いしよ』と飲みに連れて行ってくれました」
 東福岡は準決勝で高鍋に96-0と圧勝していた。それでも、少しも見下すことなく、後輩を大切にする。

 藤田は大学4年時には主将になるも、九州代表の春合宿で左足首を複雑骨折する。
 就職はJR九州を選んだ。3年間のサラリーマン生活の後、母校に呼び戻された。

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