フィフィタはあの日の「プレッシャー」を乗り越えた。日本代表入り見据える。
天理大2年でノンキャップ(テストマッチ出場なし)のシオサイア・フィフィタは、今秋開催のラグビーワールドカップ日本大会出場をあきらめていない。
ジュニア・ジャパンの一員としてパシフィック・チャレンジ(フィジー・スバ)に挑む直前、正規の日本代表入りへの意欲を明かしていた。ナショナルチームを支えながらスーパーラグビーで戦う、サンウルブズへもチャレンジしたいという。
「この遠征が、チャンスだと思っています。しっかりチャレンジして、思いきりプレーしたいです。今年のサンウルブズ、入りたいです。それを目指し、覚悟を持ってやっていきたいです」
現地ではフィジー・ウォリアーズに24-66で大敗も、サモアA、母国のトンガAにはそれぞれ31-21、39-10で勝利。アウトサイドCTB、WTBで出場したフィフィタは、身長187センチ、体重110キロの身体で再三、ラインブレイクを決めた。ぶちかますだけでなく、タックラーをかわすフットワークも光った。その背景には、今度のジュニア・ジャパンでアシスタントコーチを務めた森田恭平の教えがある。
さかのぼって1月12日、東京・秩父宮ラグビー場。大学選手権決勝で、明大に17-22と屈した。ラストワンプレーでは自らのノックオンに泣いた。何より試合を通じて、相手の鋭い出足の防御に苦しんだ。
スタンドからは、伝統校である明大への熱烈な声援が聞こえた。フィフィタは場内の様子を「アウェー」と捉え、「プレッシャー」を感じていたという。パシフィック・チャレンジの開幕直前に言った。
「アウェーの試合が初めてだったので、緊張もした。あとは、メイジが素晴らしかった。プレッシャーがあった時に何をすべきか。それが、(自身は)できていなかったので。ただ、前回のキャンプでそれ(課題とその解決方法)がわかったというか…」
ここでの「前回のキャンプ」とは、2月17~20日に東京・栗田工業グラウンドでおこなわれた「TIDキャンプ 2018年度第5回合宿」。ジュニア・ジャパンのメンバーを選ぶこのキャンプで、森田コーチから「プレッシャーがあった時」の具体的な対処法を学んだというのだ。
神戸製鋼所属の森田は「ラグビーはシンプルなもの」「シンプルに伝える」をモットーとする。フィフィタは森田の指導を「わかりやすい」と感じたようで、あの日の明大のように鋭く飛び出す防御へも対策方法を整理できた。
「ラインアタック(の立ち位置)は深い位置じゃなくて、浅く(すべきだった)どんどん前に。ダイレクトに」
日本航空高校石川出身の20歳は、パワフルでクレバーな戦士になろうとしている。そして今回のパシフィック・チャレンジでは、周囲に期待された通りに活躍。近未来の日本代表でも暴れたい。