サンウルブズ除外と2020後の未来 アジア・太平洋地域版スーパーラグビーの話も
サンウルブズ除外の筆頭に立ってきたのは南アフリカ協会だとされている。自国チームの遠征費の負担増大とサンウルブズ戦の視聴率の低さを嫌ったためだ。この視聴率の低さがおそらく、他の国のどのテレビ局よりも出資している南アフリカのテレビ局の収益減少につながっているのだろう。3つ目の理由は、日本が2023年のワールドカップの開催地として、南アフリカではなくフランスを支持したことに南アフリカ協会が不満をもっているからだ。アルゼンチンと南アフリカがサンウルブズ除外を支持したのに対し、ニュージーランドとオーストラリアが残留を支持したというが、前者には及ばなかった末の今回の決定かもしれない。
現在の放送契約のもとでは、SANZAARは2020年に127試合を放送する予定であるが、2021年以降は消えてしまうとわかった今、サンウルブズはどれだけの競争力をもってリーグを戦うのだろうか。
2020年シーズンにスーパーラグビーレベルで戦える優秀な選手を獲得するのに苦労するだろう。
既にいくつかの放送局は、2020年のサンウルブズの登録選手についての懸念を示している。3月22日付けのオーストラリアの新聞では、サンウルブズが大学生やトップリーグチームと育成契約のある新人選手を多く起用するだろうと報じた。コーチや運営スタッフの離脱は避けられないだろう。
アンディ・マリノスはスーパーラグビー・アジア=太平洋大会の可能性にも触れたが、これはかなり不確かである。2017年シーズン終わりにウェスタン・フォースが除外されて以降、「Global Rapid Rugby」と呼ばれる似たような大会をオーストラリアの鉱業富豪、アンドリュー・フォレストが検討していたが、私の知る限りSANZAARやオーストラリア協会からフォレストに協力する具体的な動きは未だ無い。フォレスト側のスポークスマンは「Global Rapid Rugbyはアジア版スーパーラグビー計画とは関係が無く、報道は間違っている」とした。
3月22日金曜日の夕方の発表において、オーストラリア協会のラエリーン・カッスルCEOは、「SANZAARは会議において、非常に長く慎重な行程を踏まえながらサンウルブスの残留に向けてさまざまな事項を考慮しました。そして最も重要なのは、日本ラグビー協会がこれ以上サンウルブズへの経済的支援を続けられないと示した際に、今度は我々が経済的に無防備な立場であることを認識したことです」とした。
また加えて、「経済的なバックアップのないサンウルブズとともに、このリーグの運営を続けることは我々にとっても困難だったのです」とも述べていた。
残留にいくら必要だったのかを聞かれたとき、彼女は具体的な数字は挙げず「何千万ドルでしょう」とし、また、遠征の距離が変われば何百万ドルも節約できると述べた。
(文:バリー・ロス)