女子
2019.03.05
私のイメージする試合を最後にしてくれた。PEARLSを退任する記虎監督の幸せ。
PEARLSで初めて女子クラブを指導して、多くのことを選手に与える一方で、あらためて学んだこともある。
「みんなラグビーが好きで、まじめに、しっかりと練習をします。好きなことに打ち込む姿勢は、女性も男性も、なんの違いもない。むしろ、言われたことを素直に受け入れ、まじめにやり遂げようとする純粋さは、女性の方が上回っている感じも受けました」
このクラブが急速に成長した理由を、記虎監督は「探究心」と考える。
「自らすすんで取り組む選手を育てたつもりです。受け身でなく、探究心、追求する心を持つ。パールズの選手たちは、それを持っていたので伸びていってくれた」
女子選手には、丁寧に指導するのが大事だった。
「含みを持った伝え方でなく、噛み砕いて説明する。納得すれば自ら動き、求める」
自身もコーチとして成長させてもらった。
この日の試合で引退したベテランのFB伊藤絵美は、試合前の記虎監督の言葉が、チームのメンタルをいつも支えてくれたと明かす。
「それは嬉しい」と穏やかに笑った同監督は、いつも選手たちに伝えていたことを繰り返した。
「チームのため、みんなのために、自分を信じプレーしよう。うまいプレー、凄いプレーでなくていい。これまでやってきたことをコツコツと、基本通りに、正確にやればチームは崩れない。個人が崩れなければチームも崩れない」
最後の試合、目の前で奮闘してくれた教え子たちが愛おしかった。
「自分がイメージするラグビーは、ロースコアのゲーム。勝つことはできませんでしたが、最後にそういった試合をやってくれた。幸せです」
「どこまでもラグビーを追いかけたい」という名伯楽の新たな旅が、また始まる。
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