ワールドカップ 2019.02.25

ココロも、沸きたつ。W杯開催地・おんせん県おおいた で足を伸ばそう(別府編)

ワールドカップ開催地・大分県を満喫。由布院&別府へ、湯気と美味の寄り道

[ 編集部 ]
ココロも、沸きたつ。W杯開催地・おんせん県おおいた で足を伸ばそう(別府編)
おんせん県おおいた 別府の『海地獄』

 ワールドカップ・ベニューの大分は「おんせん県おおいた」を名乗るほどのお湯どころ、そして美味どころ。温泉地として有名な由布院&別府は、あちこちにラグビーボールの掲示が躍り、すでにワールドカップモードだった。観戦で訪れたらぜひ立ち寄りたいスポットが、ぎゅっと詰まった二つのまちを歩いた(2回連載)。

 大分空港に降りると、いきなり心つかまれてしまうのが、空港3階にあるレストランの看板定食。朝からこんな美味しいものを食べていいのか。いいのだ。とり天はご当地の郷土料理にして家庭料理なんだそう。

大分空港3F●ビューレストランSKY LINE(スカイライン)

玄関口のこだわり

一番人気は『大分名物のとり天定食』(1,000円・税込)!
一番人気は『大分名物のとり天定食』(1,000円・税込)!

「一番人気のとり天は、国産鶏のもも肉を特製ダレに漬け込んでいるので、旨味が溢れるジューシーな味わい。カボスポン酢とからしの他に、ゆず塩や県産の生カボス(8~11月の期間)を搾ってお召し上がり下さい」(写真はレモン)(大分航空ターミナル㈱商事部・川野健吉さん)

 地元の看板料理を空の玄関口で食す。観光客はもちろん大分県民にも愛される当店こだわりの逸品。片栗粉などではなく天ぷら粉で鳥を揚げたのがとり天。もともとは飲食店のまかない料理で、安価なむね肉をよりジューシーに食べるための工夫だった。下味をつける、つけないなど家によって作り方に無数のバリエーションがある。客に長く愛されている、レストランこだわりの一品。

 たいへん遅ればせながら、まず見ておいてほしいのが、ここおんせん県おおいたで行われるワールドカップのカードの重要さだ。

 最強の優勝候補・ニュージーランド(NZ)が迎えるプール2戦目をはじめ、好カードが並ぶ。過去優勝2度、本番に強いオーストラリアの復調ぶりもチェックしたいところ。そしてウエールズも今年の欧州6か国で連勝スタートを切っている強国だ。7人制ラグビーが国技でもある変幻自在なフィジーとの対戦は、ラグビーファンなら見逃せない一番。準々決勝2試合は好試合が約束されている。
 
――と! すでにチケットを確保した皆さんはそれだけでも十分満足かもしれないけれど、大分のスタジアムから少し足を伸ばせば、ご一緒の奥さま はじめファミリーみんなに喜ばれることうけあいのスポットがぎゅっと詰まったまちがある。はじめにお連れしたいのは別府! 「湯~園地」の動画も話題の地へGO!

別府●地獄めぐり

アメイジングな地獄たち。

 い、いきなり「地獄」? と言わずお立ち寄りを。
 
 言葉の響きとは裏腹に、行ってみれば極楽のるつぼ。お湯の鮮やかな青さと、勢いよく噴き続ける蒸気に圧倒される『海地獄』(上写真)。堆積した粘土が醸す赤色の熱泉は『血の池地獄』(下写真)。『かまど地獄』は海外からの客に好評の、アミューズメントパークのような空間だ。

これ着て渋谷の交差点を歩いてる外人さんを見たことがある(編)
かまど地獄
『血の池地獄』の水温は約78度!
園内の建物にどーん! とこの家紋(?)


 お腹、すきましたね。次の場所はエンマだそう。地獄で、エンマに。

別府●地熱観光ラボ縁間(えんま)      

ピザさえも、蒸す。

温泉の噴気で蒸すための窯! ほんのり塩みがつく

「旬の野菜や魚介を、噴気で蒸した『縁間(えんま)盛り』(税込3000円)が人気です。オープン4年目、月に800-1000人のお客様で賑わいます!」(佐保瑠奈さん)

 縁と間でエンマ。野菜も肉も魚も。町のあちこちから吹き出す噴気を利用した『地獄蒸し』は別府の家庭料理。縁間では、ピザまで美味しく蒸してしまう。勤務中で飲めなかったけれど、足湯&ビールは間違いない。取材にお邪魔したのは寒い日だったが、足湯のおかげで、ぽっかぽかで過ごすことができた。

 んー! 佐保さーん、ピザ、もう一枚!

足湯つき席がうれしい! 気分もほかほか。 表情に出てませんが、最高なんです
店頭のサイン。楽しげ。鉄輪(かんなわ)という地区にあります

 

 問題発生。次のスポットは砂湯なのだが、お客さんがたくさんなので、体験取材ができるのは一人のみに。営業担当にそのお役を託すと…

別府●別府海浜砂湯

ずっしり。ほかほか。

15分間の至福。


 体験した営業担当いわく「お湯でいうと38度くらいでしょうか」。
 
 そうですか。とにかく気持ちよさそう。

「砂場全体をいったんお湯に浸して温めます。天候などによって温かさの感じ方が変わるので、砂をかける時にその調整をしています」(砂かけマイスター・桃山浩美さん)

砂湯場の近くに二つある温泉で砂を温める。桃山さんたち「砂かけさん」の腕と、足元に広がる海原が独特の心地よさをくれる。3月以降、受付は8時半から17時まで。料金は1030円也。屋外で気持ちがいい。砂かけさんもみんな気持ちのいい方ばかり、営業担当は待ち続ける私たちを忘れ、とってもリラックスしていた。

 まちのあちこちから吹き出す白い噴気。これを生活に活用する工夫が代々行われてきたことが感じられるが、次にお邪魔する岡本屋売店さんは、スイーツづくりにそれを生かした開拓者だ。

別府●岡本屋売店

プリンに宿るよ開拓心

『地獄蒸しプリン』は税込260円。リーズナブル!

「プリンを温泉の噴気で蒸し始めたのは30年前です。お年寄りのみのイメージが強かった温泉で、デザートが作れないかと試行錯誤。昔から茶わん蒸しは噴気で作られていたので、プリンと材料が似ているから、いけるかな? と。いまでは、日に1000個売る商品になりました」( 取締役・岩瀬裕子さん)

 明礬(みょうばん)温泉の老舗宿『岡本屋』の小さな小さな売店から、人気スイーツが生まれ、若者や海外出身のお客さんがひっきりなしに引き戸を開けるようになった。プリンだけではなく 地獄のおにぎり(半熟たまご&とりごぼう飯!)、地獄蒸したまごサンドイッチなどヒットメニューが並ぶ。旅の疲れも吹っ飛ぶ美味しさと納得感。

地獄蒸したまごサンドイッチ(税込500円)。名前とのギャップがいちいちすごい。挟まれた たまごの量が素晴らしい
地獄のおにぎり(税込160円)。このとろとろ感は伝わっていますか

 ちなみに岡本屋の企画・広報担当の橋浦ナツキさんは、元・別府鶴見丘高ラグビー部マネージャーにして日体大女子ラグビー部OGのラグビーウーマン。

くらしの中に、お湯がある。

 朝、空港に着いてから、鳥とたまごをずいぶん食べた。大分県は鶏肉の消費量が全国第1位。そして、ほかにも大事な第1位がある。

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