成長止めなかった日和佐篤が「心強い」。ワールドカップ3大会連続出場なるか。
「パフォーマンス自体は2015年から落ちたとは思っていないですし、今年(2018年度)はさらに上がったとも思います。国際レベルに対応する準備はできてきました」
常に「国際レベルに対応する準備」を心がけてきたという日和佐は、新天地でも名手から刺激を受けた。共同主将で元ニュージーランド代表SHのアンドリュー・エリスに対し、「プレーを見ながら真似するところは真似してという意識でいました」。一例は、連続攻撃中のサポートだった。
接点からパスを放つ。受け手が防御網を破ったところへサポートに入り、再び球をもらう…。エリスが得意なこのプレーを自身のものにすべく、フィットネスを強化した。
「いつ(味方が防御の間を)抜けるかはわからないし、抜けたところは確実にサポートしたい。そのためには絶対的な体力が必要」
全体練習後は、本拠地の灘浜グラウンドを延々と走った。いつしか後輩のSHも影響を受け、一緒に汗を流した。スタミナをつけて動きの幅を広げた日和佐は、キャンプ集合日前日の2月2日、岐阜メモリアルセンター長良川競技場でのチャリティマッチに出場する。トップリーグ選抜の一員として、エリスのようなサポートプレーからトライを奪った。そして都内のRWCTSキャンプでは、自然な流れで上位クラスの運動量を披露した。
日本代表のSH争いでは34歳の田中史朗、サントリー現主将の流大らが先頭集団を作っている。そのため、今回がジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ体制下で初の長期合宿帯同という日和佐は「崖っぷち。しっかりアピールするところはアピールする」。当落線上という立場を自覚する。
一方、今年9月開幕のワールドカップ日本大会に向け「選ばれる、選ばれないに関わらず、私生活を含めチームにいい影響が与えられるようにしていきたい」とも話す。積み上げてきた実力を周りに認めさせながら、周りの雰囲気を良質にしたい。
サントリー、神戸製鋼で切磋琢磨してきた世界的なプレーヤーは、チームマンとしても一流だったという。日和佐は「おじさん」という単語で周りを和ませつつ、こう言うのだった。
「おじさんになって(日本代表に)呼ばれて個人のことしか考えていなかったら、何してんねんと言われると思う。チームの見本になるようにはしたいです。いままで見てきたおじさんの選手たちがしてきたようにはしたい。精神的な成長。前回大会の時は自分のことだけで精いっぱいだったのが、少しは気配りができるようになったかな、と思います」
キレは相変わらずとも、円熟味を増したとも見られる31歳。日本代表主将のリーチ マイケルからは、早くも「心強い。意欲がすごい」と頼られている。