国内 2019.02.02

トップリーグ選抜は仏強豪のクレルモンに敗れる。「フィジカルの強さに圧倒された」

[ 編集部 ]
トップリーグ選抜は仏強豪のクレルモンに敗れる。「フィジカルの強さに圧倒された」
クレルモンの壁を破ろうとする立川理道(撮影:早浪章弘)

 岐阜メモリアルセンター長良川競技場で2月2日、「バローグループ presents 日仏ラグビーチャリティマッチ2019 ~FOR ALL 復興~」がおこなわれ、日本のトップリーグ選抜がフランスの強豪クラブであるASMクレルモン・オーヴェルニュに挑んだが、29-50で敗れた。

 オールスターゲームとはいえ、ワールドカップの日本代表スコッド入りを狙う選手たちにとっては大事なアピールの場でもあった。

 序盤、トップリーグ選抜は相手に2トライを許してしまう。

「フィジカルの強さに圧倒された。1人ではなかなか止められない。ディフェンスのシステムを構築するには時間がかかる」(トップリーグ選抜:日和佐篤キャプテン)

力強いボールキャリーを見せた木津悠輔(撮影:早浪章弘)

 しかし、攻撃は通用する部分もあった。前半11分に力強い突進でゴールラインを越えたPR木津悠輔(トヨタ自動車)のグラウンディングは認められなかったものの、直後、ゴール前中央のスクラムから左へボールを動かし、CTB立川理道(クボタ)、SO田村煕(サントリー)のループでディフェンスをずらしてWTB尾崎晟也(サントリー)が左隅にトライを決めた。16分には自陣22メートルライン内から攻め上がって尾崎とFB山中亮平(神戸製鋼)が大きくゲインし、SH日和佐(神戸製鋼)、FLボークコリン雷神(リコー)がサポートについて、最後はボークがチームアタックをフィニッシュした。

 FL松橋周平(リコー)などはブレイクダウンでも激しくファイト。

 しかし、クレルモンは28分、フィジー代表でもあるNO8ペゼリ・ヤトがパワーでトライを取り切り、流れを変えた。33分には、かつてリコーでもプレーしたことがあるSOティム・ナナイ・ウィリアムズが切り込み、最後はWTBレミ・グロッソがファイブポインターとなった。36分には山中が落球し、それを拾ったSHシャルリー・カッサンがゴールへ駆け抜け点差を広げた。

 シックスネーションズや欧州チャンピオンシップに参加中のインターナショナルプレーヤーが不在のクレルモンとはいえ、フランス国内最高峰リーグ(トップ14)で首位を争っているチームだけあって選手層は厚く、45分(後半5分)には3番手SHである23歳のカッサンが自陣10メートルラインから駆け上がって軽快な身のこなしでトップリーグ選抜を翻弄し、ゴールへ走り切った。その後もトライを重ね、50得点。

 クレルモンはディフェンスもしぶとく、好機を作るもなかなか得点させてもらえなかったトップリーグ選抜だが、49分にテンポよくつないでWTB尾崎が自身2つ目のトライを挙げ、65分にはゴール前のスクラムから攻めてFB山中がフィニッシュ。78分にはラインアウトからモールを組んで押し込み、計5トライを奪った。

シャルリー・カッサンとともにマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた尾崎晟也(撮影:早浪章弘)

 勝ったクレルモンのフランク・アゼマ監督は、「滞在中、この国の文化をいろいろと学んだ。今日の試合にも、その一端が出ていた。この国のラグビーは確実に成長している。(トップリーグ選抜は)バランスのとれたいいチーム。9番(日和佐)、15番(山中)が印象に残っている。フロントローも機動力があり、ボールキャリーもよかった」とコメント。
 ゲームキャプテンを務めたLOポール・ジェドゥラジアックは、「いい準備ができた。(フランス代表として)一度ジャパンとやっているので、的を絞れて試合に臨めた。試合が終わったばかりで冷静に振り返ることは難しいが、強いて言うなら20番(タウア・ナエアタ/神戸製鋼)が強かった」と感想を語った。

 一方、トップリーグ選抜を指揮したデーブ・ディロン監督(神戸製鋼)は、「いろんなチームから集まった。練習時間は多くなかったが、選手を誇りに思う」と話し、クレルモンについては「大きい選手も多くて強い。トップ14の上位にいるには理由がある」と称えた。
 選手は各所属チームのディフェンスシステムがあるため、立川も守りの部分で難しさを感じたというが、アタックについては「ボールを持てばアタックはできた。前半、簡単に蹴ってしまっていたので、後半はキープしてアタックしようと」したと明かし、手ごたえをつかんだ様子だ。
 そして、背番号10を任された田村熙は、「最初、フィジカルの強さに驚いた。一人ひとりが重い。特別なことはやってこないのだが、トップリーグで経験したことのない感触」を味わい、こちらも貴重な経験を今後の成長につなげるつもりだ。

日仏ラグビーチャリティマッチを終え、みんなで記念撮影(撮影:早浪章弘)

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