国内 2019.01.01
バラバラで、ぶつかってしまう。だから強くなった

バラバラで、ぶつかってしまう。だから強くなった

花園3回戦。石見智翠館、桐蔭学園に届かず

[ 編集部 ]

後半、智翠館のブルーのジャージーはますますアグレッシブになった。後半9分以降、HO、SH、FLをメンバー入替、キーポジションだ。18分にはWTBを替え、19分に反撃のトライ。20分にCTB、FLを投入、23分に連続得点となるトライを挙げた。

 一時31点まで開いた点差の一方で、チーム力と、選手個々の尽きない意欲を感じる時間帯だった。

「本当に3年生がよく頑張った」(安藤監督)

「個性の強い…アクの強い3年生たちでした。なかなかまとまらなくて、浮き沈みも激しく、一時期はこのまま空中分解するのでは、という時もあった。それを、真面目な ちっちゃいキャプテンが体を張ってまとめてくれました」

 チームが本当に一つの方向に動き始めたのは、12月に入ってからだという。もともと個々のポテンシャルとそのバリエーションは大きく広く、チーム力は急激に伸びた。その成長の象徴が、リザーブメンバーのレベルアップでもあるという。

 この日、田中主将とともに先発を務めたFLは、2年生・手島壮汰。桐蔭学園が警戒していたというラインアウトを考えれば、183センチの主力3年生・馬場康輔を立てるのが普通だが、この日は「対・桐蔭」の組み合わせを考え、より機動力に特化した手島を起用した。

 この試合でリザーブメンバーが活躍したことも、この起用も、チームの成長があったからできたことだった。

「桐蔭を相手に、狙ったことができました。いいチームになってくれました。勝たせてやれませんでした」

 ちっちゃいの、でっかいの。速いのや頭がいいのや。大会前の成長も、この日最後まで尽きなかったチームの勢いも、きっともとはみんなバラバラでデコボコだったからこその賜物だ。何より、こうなることを最後まであきらめなかったからだ。

 第3グラウンドの暖かな日差しが、安藤監督の頬を照らす。悔しいのと嬉しいのが混じったまぶしい顔になった。

※武内慎選手の高校代表選出について、注釈を一部修正しました(1月2日)

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