国内 2019.01.01

絶景路線・長良川鉄道で咲かせたラグビー談議。岐阜・関商工FW 5人衆。

[ 多羅正崇 ]
絶景路線・長良川鉄道で咲かせたラグビー談議。岐阜・関商工FW 5人衆。
写真中央の背番号3はPR太田真綱。(撮影/宮原和也)

 美濃太田から北濃までの72.1キロを結ぶ、岐阜県の長良川鉄道。
 観光列車も運行される絶景路線として、外国人観光客にも人気がある。

 主な車両は定員約100名の「単行列車」。1両の電車だ。
 全38駅のうち切符販売は7駅で、多くは無人駅。
 車掌が乗っていない「ワンマン運転」で、四季折々の風景をのんびり味わうことができる。
 
 第98回全国高校ラグビー大会へ2年ぶりに出場した関商工(岐阜)で、12月30日の東福岡(福岡)との2回戦に先発した15人のうち、この長良川鉄道で通学する選手が5人いる。
 
 PR古田達裕、HO市原大輝、PR太田真綱、LO馬場大治、NO8梅村柊羽。フロントロー3人を含め、全員が3年生フォワードだ。
 
 タグラグビー経験があり関商工に憧れていたHO市原は、登下校時のラグビー談議が楽しかった。
 
「今日の練習についてや、サインプレーについても話します。全員フォワードなので(笑)。フロントローでもよく話します。より明確に共有できるので楽しいです」(HO市原)

 フォワード5人が利用する駅は、湯の洞温泉口(ゆのほらおんせんぐち)、母野(はんの)、八坂(やさか)、福野(ふくの)だという。

 1日の乗客数が一桁の駅もある観光路線で、下校時はもちろん、始発で朝練にも向かっていた。ガムシャラなプレーが売りという右PR太田は、午前4時台に起きる日々だった。

「朝5時前に起きて、5時50分くらいに家を出ます。自分の駅では間に合わないので、先の駅に行って始発に乗って、学校まで電車で40分、自転車で30分くらいです」(PR太田)

 途中駅でいつものメンバーが乗ってくる。そしていつものメンバーで朝練へ。
 そんな厳しくも充実した3年間の末、花園第1グラウンドで、優勝候補・東福岡と相まみえたのだった。

 1回戦では高松北(香川)に89-0で大勝していた関商工。「80対0という目標を作っていました」(HO市原)というから、目標を上回る成果だった。

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