国内 2018.12.28
止まった風。1.5秒の誓い

止まった風。1.5秒の誓い

48回目の花園。日川高、大阪朝高に挑む

[ 編集部 ]

 SHは9番目のFWだ。密集戦に踏み込んでボールをさばき、時にはそこに加わることもある小柄な主将は、下級生のSOを支えようとゲームメークの役割も負っていた。格闘と判断と、リーダーシップ。頼もしい仲間に囲まれているからこそ一人ずつ背負う責任への思いは深くなる。あれほど話し合い、確認し、これでもかと練習しても、悔いなくグラウンドを去るのは難しい。

「正月、超えてほしいすね」

 チームを勢いづける先制トライを奪ったHOの米倉良祐が、フィールドの機敏さとは反対ののんびりした口調で後輩への思いをつぶやいた。169㌢、98㌔。中盤地域からタンクのような体躯を躍らせて走り切ったトライは、スペースを狙って走り込んだものだという。せめてその喜びをききたかったが、「やっぱり、悔しいす」とだけ返ってきた。

 走って、当たって、寝て起きて、また走る。土埃舞う校庭で繰り返した練習は花園にしっかり足あとを残した。

 どうしても勝ちたくて、いつしか仲間を勝たせたくなって、日川が花園を走り切った。

ノーサイド直後の日川。左から2人目がSH宮下主将(撮影:毛受亮介)

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