【ラグリパWest】日本の裏側での成長を落とし込む。 報徳学園・FB山田響
泉は起用の理由を話す。
「森元はパスをしながらちょこちょこ前に出ていく。山田は一気にぎゅーんときます。そのスピードを考えました」
山田は1回戦の富山第一、そして20-50で敗れた8強戦の東海大仰星にも交替出場する。5試合中3度、花園の緑芝を踏んだ。
梶村祐介は別の長所を見い出す。
11月24日のロシア戦(35-27)で日本代表初キャップを得た先輩は山田より6歳上だ。
「ランニングコースがいい。走りながら空いているところをしっかり探しています」
サントリーの新人センターは会社の有給休暇を使って母校でコーチングをしていた。
山田は科学技術との県大会決勝でもフルバックで先発。能力の高さを見せつける。
後半12分、森本のキックパスを受け、インゴールに飛び込む。
「その前に右を攻めたので左に移動しました」
3分後、ウイング・下村寛太との間にディフェンダーが入っていると見すますや、ショルダーパスで5点をアシストした。
「僕は細いんで、空いているところをできるだけ見つけるようにしています」
遠近に限らず梶村の評価する視野の広さがある。
観察は頭を使う。それは勉強にも派生する。
周囲の噂では、学年トップ、10番程度の成績を持つらしい。
山田は答える。
「いや、30番くらいです」
盛らない正直さも美徳のひとつだ。
ラグビーに長けた血は父・賢(たけし)から受け継いだ。
男親は明石清水で高校日本代表候補に挙がる。大阪教育大を経て、消防士になる。
大学の後輩であり、御影(みかげ)監督の榎本誉展(やすのぶ)は人柄を語る。
「ごはんに連れて行ってもらったりお世話になりました。山田さんは卒業していましたが、同じ兵庫出身の後輩が少なかったこともあって、可愛がってもらいました」
榎本は星陵出身。現在、県大会運営のトップ、委員長をつとめている。