国内 2018.11.25

686人が観た大学選手権1回戦の熱闘 福工大が北大の挑戦をはね返す

686人が観た大学選手権1回戦の熱闘 福工大が北大の挑戦をはね返す
ひとりで53得点した福工大のNO8ソセフォ・ファカタヴァ(撮影:Hiroaki.UENO)
 観客数686人。テレビ中継はなく、多くの人はあまり注目していなかったかもしれないが、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州で、熱闘は確かにあった。
 11月24日、第55回全国大学ラグビー選手権大会が開幕した。1回戦、九州代表として2年ぶり26回目の出場となった福岡工業大学が、東北・北海道代表決定戦を勝ち抜いて悲願の初出場を果たした北海道大学を108−0と圧倒した。
 挑戦者の北大は序盤から出足鋭く、低く激しいタックルを繰り返した。自陣深くに入られても、守りはしぶとかった。戸惑った福工大。しかし、「北海道大学さんの気迫がすごく伝わってきて、自分たちも『負けてたまるか』と、それを上回る気持ちで前へ出て、そこからトライを取ることができました」とFBの佐竹克基キャプテンは振り返る。
 計15トライを挙げた福工大の中心となったのは、トンガ出身のソセフォ・ファカタヴァとシオエリ・ヴァカラヒだ。目黒学院高校を卒業した1年生のヴァカラヒは、今年選出されたU20日本代表ではアウトサイドCTBでプレーしたが、この日はFLとして活躍した。
 福工大は春からセットピースに苦しんでいたため、FWがコントロールを失っていくと、いいバックスがいてもトライを取れないと判断した宮浦成敏監督は、パワーがあるトンガ出身選手2人をFWに入れ、セットピースを安定させた。そして、彼らはランナーとしてもパンチ力があるため、NO8ファカタヴァとFLヴァカラヒにボールを持たせてディフェンダーを引き寄せ、BKで勝負するというプランがはまった。勇敢なタックルを続けていた北大だが、やがてボディーブローが効いて、ディフェンスにほころびが出てきたところへトンガンファイターがタテへ突進した。
 ヴァカラヒと同じ目黒学院出身で3年生のファカタヴァは、大東文化大学にいるファカタヴァ双子(タラウ&アマト)の弟だ。ヴァカラヒと同数の4トライを挙げただけでなく、難しい角度からのコンバージョンも含め16本のゴールキック(1PG)をすべて決めた。宮浦監督が「入学当初からうまかった。それによく練習するんです。精度がよくなって、こういう試合になればなるほど決定率が上がってきている」と評価するファカタヴァのキックは、これから先のチャレンジで貴重な得点源となりそうだ。また彼は、3年生ながら副将を任されており、指揮官いわく、「自覚も出てきて積極的にプレーするようになり、リーダーとしてFWを引っ張ってくれています」。
 福工大は12月1日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場でおこなわれる2回戦で、7年連続7回目の出場となる朝日大学(東海・北陸・中国・四国代表)と対戦する。
 「新しいことをやるのではなく、自分たちの強みであるタテを活かして、そのあとバックスリーで取り切るということを、より精度高くやっていきたい」と佐竹キャプテン。宮浦監督は、「北海道大学さんが今日見せてくれたようなディフェンスを我々もして、それからアタックをしっかりやっていく。まずやらなければいけないことは、しっかりセットピースで安定させること。そして、我々のアタッキングラグビーに持ち込めるようなゲームをしていきたい」と語った。

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