国内 2018.08.31

神戸製鋼アンドリュー・エリスが語るウェイン・スミス効果とは。

神戸製鋼アンドリュー・エリスが語るウェイン・スミス効果とは。
負けず嫌いで、チームメイトからの信頼も厚いアンドリュー・エリス(撮影:松本かおり)
 アンドリュー・エリスはいつも朗らかだ。インタビューではにこやかに具体的なエピソードを披露し、突然、通訳の履いていたスニーカーのデザインを褒め、また、本題に戻る。
 8月20日、都内でおこなわれた国内最高峰トップリーグのプレスカンファレンスでのことだ。自身が共同主将を務める神戸製鋼の準備状況を聞かれ、まずはこう即答する。
「効果的な準備ができています。練習では細部の動きについて徹底している。その成果が出ています」
 昨季までの5シーズンで4人のヘッドコーチを迎えながら優勝を逃していた古豪は、今季、ウェイン・スミス総監督を招へい。ニュージーランド代表のアシスタントコーチとしてワールドカップ2連覇を果した名伯楽が、部分帯同の軍師役となったのだ。通常の指揮官としての業務はデーブ・ディロンに任せながら、クラブ文化やプレースタイルの再構築を図る。
 同代表28キャップを持つ共同主将にとっては、かつての上司との再会が叶った格好だ。SHとして精度の高いハイパントや緩急自在のパスさばきを得意とするエリスは、スミス総監督のここまでの仕事をこう見ていた。
「外部の方は、ウェインが何か特別な魔法を使うように思うかもしれません。ただ実際にやってもらっていることは、パス、キャッチなどの基礎中の基礎。こういう、結果につながる基礎の動きを皆で確認しています。また彼は最初に、神戸製鋼の会社のストーリーについていろいろと教えてくれました。それは、非常にパワーを感じさせるものです。学ぶことが多かった」
 一緒に時間を過ごした人々に「いつも働いている」と言われるスミスは、日本の職場でもらしさを貫いているようだ。エリスの言葉が本当なら、スミスはトップリーグ創設前に日本選手権7連覇を果たしたクラブの親会社について予習し、すでに入社していた選手に改めて落とし込んだこととなる。自分たちの存在意義を共有することで、タレント集団に精神的な支柱を通したかったのだろうか。上位陣同士のゲームで効果が表れるかに注目だ。
 初戦は8月31日、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場でおこなわれる。NTTコムを迎え撃つこの一戦で、ポジティブなエリスはゲーム主将として先発する。異国のチームでリーダーシップをとる難しさを問われても、この調子で口角を上げる。
「本当にラッキーなことに、我々のチームには日本人を含めリーダーシップをとってくれる選手がたくさんいます。僕の役割は試合前のコイントスと、全体的なオーガナイズだけです」
 チームがスミスのビジョンを具現化するにあたり、来日5年目となるニュージーランダーの存在感は高まるばかりだろう。当日もポジティブに仲間を引っ張る。
(文:向 風見也)
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