国内 2018.08.30

「ハードワーク体感」の村田主将、日野のトップリーグ初挑戦で外すリミット。

「ハードワーク体感」の村田主将、日野のトップリーグ初挑戦で外すリミット。
村田毅。日野レッドドルフィンズの主将として新たな歴史をつくる(撮影:松本かおり)
 国内最高峰のラグビートップリーグに初めて挑むシーズンのリーダーだ。言葉が瑞々しい。
 8月20日に都内であったプレスカンファレンスでの声明は、こんな内容だった。
「このチャレンジは1回しかできない。本当に、チーム全員で楽しんでいきたいと思います。新しいチームですが、最初から自信を持って堂々と戦い抜いていきたいです」
 村田毅。今年度、日野レッドドルフィンズの主将になった29歳だ。
 NECから移籍1季目の昨季は、入替戦勝利でトップリーグ初昇格を達成する。身長186センチ、体重103キロのサイズで強烈なタックルとジャッカル(接点でボールに絡むプレー)を繰り返し、看板のチーム防御を高質化した。
 もともと社員選手を軸に据えてきた日野自動車にあって、村田はプロ選手ながら主将となった。部史上初めてとなるこの決定に関し、細谷直監督は、「議論はありましたが、揉めてはいません。彼はまだ1年間しかプロ生活をしていませんし、NECで社員だったために日野の社員選手の気持ちがわかる」と断言。「副将は社員の染山(茂範)なので、下義生社長の掲げる『社員とプロとの融合』も体現している」とし、こうも続ける。
「絶対にグラウンドに立つ、社員経験が深いという(選出の際の)条件を満たしている。また、日野がトップリーグで勝っていくにはチーム全体にファイティングスピリッツを根付かせなければいけませんが、彼は去年それを身体で示しています」
 クラブが8強入りを目指すなか、当の本人はこううなずく。
「トップ8という目標から逆算した結果、チーム全体に『これで目標を達成できるのか』と言える(常に問いかけられる)人間だということで(主将に)任命されたんだと感じます。その、責任があると思っています」
 強化への追い風のひとつに、社員選手の勤務時間の変化がある。下部リーグにいた昨季まではほぼフルタイムでの勤務が必須とされてきたが、トップリーグに挑む今季は他の強豪クラブの社員勢と似た条件で練習できそうだ。
 村田はNECの社員時代、日本代表で早朝5時から猛練習を繰り返したこともある。今度の日野の変化を「もう、言い訳のできない環境を整えてもらった。(言いたいことが)言いやすいです」とし、こう前を向く。
「幸い、ハードワークを体感してきた。社員経験もあるので、社員たちのリミットを外していきたいと思います。社員でもできるってことは、僕が、わかっている。僕も今季の日野の社員と同じスケジュールでプレーしたことがあるので、『そんなこと言ったって仕事やってんだよ!』とも、言わせないです! その意味では、プロと社員との垣根もなくしていきます」
 クラブにとって歴史的第一歩となる今季初戦は8月31日、東京・町田市立野津田公園陸上競技場でおこなわれる。宗像サニックスとぶつかる80分間をどう「楽し」めるか。気持ちは昂るばかりだろう。
(文:向 風見也)
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