海外
2018.01.30
サンウルブズのレメキは、下剋上がお好き。
国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦して3シーズン目となるサンウルブズは、15チーム中5位以内を狙うと宣言。1月29日からの本格始動を約1週間後に控えたタイミングで、「絶対、行ける」と発したのはレメキ ロマノ ラヴァだ。
自信を力に変えてきた人は、改めて強調する。
「サンウルブズの入ったオーストラリア・カンファレンスは、(上位を独占するニュージーランド・カンファレンスと比べて)それほど強くない。こっちにはいい外国人もいる。絶対、行ける」
ほぼ確定的だった2017年のサンウルブズ入りは、2016年秋の故障で見送っていた。今回は、満を持してのスーパーラグビー参戦を叶えた格好だ。国内所属先のホンダでは下部のトップチャレンジリーグを戦っていたが、その間も個別練習で肉弾戦周りのプレーを特訓。「タフチャレンジ」に備える。
視線の先には、日本代表としてのワールドカップ出場を見据える。今季のサンウルブズのボスは日本代表も率いるジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)とあって、今年のスーパーラグビーは代表定着へのアピールの場となりうる。
「若い頃からワールドカップを目指していた。世界のいい選手が皆、ワールドカップに出ているから。ハードワークをして、怪我がなければチャンスはあると思う。自分の強みを出していくだけ」
ニュージーランド出身で、2014年に日本国籍を取得している。7人制日本代表として臨んだオリンピック・リオデジャネイロ大会では、ニュージーランド代表を破るなどして4位入賞。2016年からはジョセフHCが率いる15人制の日本代表へも加わった。身長177センチ、体重93キロと大柄ではないが、防御を切り裂く走りとピンチを救うタックルで光る。「パワーなら負けない」と笑う。
これからは、国内外でほぼ休みなく競技に没頭する。「全部の試合に出るのは、難しい。そこは、皆で交代しながらやっていく」。ジョセフHCからも、1人あたりの年間の出場試合数を30試合程度にするとレクチャーを受けているとする。各所と連携を図り、与えられた舞台で最大限のアピールをする。
心待ちにするのは、2月24日の開幕節。東京・秩父宮ラグビー場でのブランビーズ戦だ。レメキは、このステージとの縁をこう強調する。
「ブランビーズ戦で出られたら、7人制、15人制の日本代表、スーパーラグビーと、全部、秩父宮でデビューすることになる。秩父宮でデビューした日は必ずトライを取っているから、(今季の開幕節でも)取りたいよね。できれば、スーパーラグビーの試合は全部、秩父宮でやって欲しいくらい。スタジアムがいい雰囲気で盛り上がっていたら、もっといいプレーができる」
今年初めに三男が誕生した。病院にいた1月7日は、大学選手権の決勝戦をワンセグ中継で観た。21−20のスコアで9連覇を果たした帝京大ではなく、21シーズンぶりの王座を狙う明大を応援していたという。
さらに13日の国内最高峰トップリーグのプレーオフファイナルでは、リーグ戦無敗のパナソニックよりも前年度優勝も1敗のサントリーに注目した。
つまり秩父宮でおこなわれたふたつの大一番は、「アンダードッグが好き」という観点でチェックしたのだ。2シーズンで通算3勝のサンウルブズを5位以内へ引き上げるというエース候補の、それが哲学だった。いつかのニュージーランド人は、新たな国籍を得た極東の地で世界を驚かせたい。
(文:向 風見也)