国内
2017.12.16
【関東大学対抗戦入替戦】武蔵に拍手、立教も沸かすも…。青学、成蹊A残留。
低いタックルを見せた武蔵大。体を張って青学大を追い詰めた。(写真/松本かおり)
この週末も情熱が交錯した。
12月16日、熊谷ラグビー場Bで関東大学対抗戦のA・B入替戦がおこなわれた。第1試合は青山学院大(A-7位)×武蔵大(B-2位)のカードで、第2試合は成蹊大(A-8位)×立教大(B-1位)。結果的には対抗戦Aの2校が残留したが、それぞれ24-20、25-17の接戦だった。
中でも、グラウンドを見つめた熱心なファン、関係者、友や家族の胸を熱くしたのが武蔵大だった。部史上初めての入替戦進出ながら、日々積み上げてきたものを相手にぶつけた。
特別変わったことはしない。しかし、攻守に基本に忠実に動き続け、果敢に前に出た。
結束力も高かった。前半を7-14とリードし、残り8分の時点で12-20とリード。集中力高く戦い続けた。
しかし、対抗戦Aで戦い続けた青学大の当たりがボディーブローになったか、残り数分となった時点から失点を重ねた。
後半37分、フェーズを重ねられて押し切られる。そして20-19のスコアで入ったインジャリータイムに逆転された。中盤で反則。PKで自陣深く攻め込まれ、FWで迫られる。最後は松尾拓磨に飛び込まれ、20-24とされた。
チームの先頭に立って体を張り続けたFL安武稔昌は言った。
「やってきたことをやり切る。それだけに集中しました。やってきたことは通用していました。でも、勝てなかった。悔しいです。でも、誇りは持てる試合でした」
この80分でチームをまた少し前進させて、キャプテンはスパイクを脱いだ。
2試合目は立教大が開始20分で2トライを奪い12点を先行。前半を17-7とリードする展開も、最後は成蹊大が笑った。
攻め手が多かったのは濃紺のジャージーだ。FW、BKのバランスがよく、ボールをよく動かして攻略した。昨年も同じ相手と入替戦を戦い、試合終了間際まで26-22とリードするも、ラストプレーでひっくり返され、涙をのんだ。同じ轍は踏まない。気持ちが入った前半だった。
しかし立教大は後半、スコアボードに点を加えられなかった。成蹊大が自分たちの強みを出し続けたからだ。
FWに自信を持つ成蹊大。そこを徹底的に使った。
スクラムで圧力をかける。ブレイクダウンでも。そのプレッシャーに立教大はミス。そして反則。黒地に赤のラインが胸と腕に入った男たちは、リードされても慌てることなく、自分たちができることだけをした。
7分、スクラムからNO8原島航佑が持ち出してトライ(14-17)。後半31分にPGで追いつくと、36分にはスクラムターンオーバーから勝ち越し点を奪った(22-17)。最後にPGを追加した攻撃でもフロントローがよく走った。
後輩たちを来季も対抗戦AでプレーさせてあげられることになったFL牛山直哉主将は、「リードされても慌てませんでした。ハーフタイムに、もっとFWで圧倒しようと確認し合って意識が変わりました」と話し、前後半に違った顔を見せたチームの勝因を分析した。
今年も悔しい負け方だった立教大のCTB福澤瑛司主将は、涙をこらえながら仲間と話した後、またもくり返した惜敗の80分をこう振り返った。
「攻め続けることを続けられなかった。相手のプレッシャーに前に出られなくなってしまった。ただ悔いはありません。みんな最後の最後まで諦めていなかった」
猛タックルを繰り出していたキャプテンは足を引きずりながらピッチを出る前に言った。
「人一倍の努力ぐらいでは足りない。みんなそう分かったと思います」
対抗戦Aへの切符は渡せなかったが、後輩たちに大事なことは伝えた。
いつも接戦となる成蹊大×立大。今年もプライドがぶつかり合った。(写真/松本かおり)