女子
2017.11.13
富士山裾野御殿場大会優勝は初出場のPEARLS! シーズン女王はアルカス
衝撃のメジャーデビューだ。
PEARLSファミリーの歓喜の声が富士山の麓に響いた。
11月11日から始まっていた太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2017 第4戦・富士山裾野御殿場大会(静岡・裾野市運動公園陸上競技場)。12日には各カテゴリーのトーナメント戦がおこなわれ、カップ(最上位)トーナメントで大会初出場のPEARLS(MIE WOMEN’S RUGBY FOOTBALL CLUB)が頂点に立った。
ファイナルで日体大ラグビー部女子に22-12と快勝した後の円陣で、齋藤久GMが声を弾ませた。
「(創部)17か月で歴史を作った。また、明日から新しい歴史を作っていこう」
昨年うぶ声をあげたばかりのクラブが、2017年シーズンの最後に痛快な勝利を手にした。
前日、アルカス熊谷にこそ敗れたものの、カ・ラ・ダファクトリーRugirl-7、チャレンジチームを破り、プールAで2位となった勢いは2日目になってさらに増した。
カップ準々決勝でYOKOHAMA TKMに12-7と競り勝つと、準決勝で北海道バーバリアンズディアナに27-7と完勝。そして決勝では、準決勝でアルカス熊谷を倒して勝ち上がってきた日体大を寄せつけなかった。
ファイナルでの戦いは堂々としたものだった。
立ち上がりのキックオフボールを受けると攻め続け、元日本代表、このチームを強烈なキャプテンシーで牽引するキャプテンの伊藤絵美が豪快な走りでチャンスを作った。1分30秒ほど続いた攻撃を仕上げたのはNZ・ウェリントンからやって来た、同国セブンズ代表候補のジョージア・ダールス。豪快にインゴールに入り、がっちり流れをつかんだ。
さらにその3分後にもトライを奪った。12-0とリードして前半を終えると、後半2分にはラインアウトからのサインプレーで大島千佳がトライを奪う。17-0として勝負を決めた。
アカデミーチームも持ち、三重で地域に根ざした活動を続けてきた。15人制女子日本代表主将の齊藤聖奈もいる。トップチームのコーチを務めるのは、啓光学園高校(現・常翔啓光学園)を率いて花園を席巻した記虎敏和氏。土台をしっかり作ったから積み上げがうまくいった。
だから、海外からの実力者をうまく活かせた。日本人選手と外国人選手のつながりも太いから、試合を重ねるごとに結束が強くなっていった。
富士山裾野御殿場大会MVPにも選ばれた伊藤主将が顔をくしゃくしゃにして言った。
「いろんな問題もあったけど、それを乗り越えてきて、この大会の最後にワンチームになれました」
スタンドからは、アカデミーチームの選手たちが大勢かけつけていた。
大会後には、競技場近くのホテルで2017年シリーズの年間表彰式がおこなわれた。
年間チャンピオンに輝いたのはアルカス熊谷。2大会で優勝し、大雨に見舞われて準決勝までしかおこなわれなかった保土ヶ谷大会でも最上位。そして今大会では3位だった。
2年ぶりの頂点に、山中美緒主将は言った。
「年々レベルアップして厳しい戦いでしたが、それを戦い抜いた仲間を誇りに思います」
御殿場大会のキャプテンに指名されていたバティヴァカロロ ライチェル 海遥は、大会関係者への感謝の気持ちを話し、そこに喜びの思いを込めた。
年間MVPも発表され、これもアルカス熊谷から選ばれた。
中村知春だ。
日本の女子ラグビーの先頭にも立つリーダーは、壇上から全チームの選手たちに言った。
「2020年に向けて、みんな仲間、みんなライバル。頑張っていきましょう」
会場が元気になって、今季のシリーズが幕を閉じた。
シリーズ総合優勝のARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’S SEVENS RUGBY FOOTBALL CLUB
(撮影:松本かおり)