海外 2017.09.27

【TOP14】注目の男Vol.1 ジャパン因縁のスコティッシュ・レジェンド

【TOP14】注目の男Vol.1 ジャパン因縁のスコティッシュ・レジェンド
©getty Images
 
 日本のラグビーファンにとってもおなじみ、というより忘れられない顔かもしれない。2015年のラグビーワールドカップでスコットランド代表を率いたあのキャプテン。高精度のキックとにくたらしいほどの落ち着いたゲームコントロールでジャパンに同大会唯一の黒星をつけ、決勝トーナメント進出の夢の前に立ちはだかった男である。
 1980年代に活躍した元スコットランド代表の伝説的SH、ロイ・レイドローを叔父に持ち、首都エディンバラに生まれた。ユース時代はボーダーズのジェド・フォレストクラブで研鑽を積み、ボーダーズU18代表やスコットランドU18、U21代表等を経て、2006年よりエディンバラでシニアプレーヤーとしてのキャリアをスタート。2014年から3シーズンはイングランドのグロスターでもプレーした。ちなみにグロスターの本拠地キングスホルムスタジアムは、2015年のラグビーワールドカップで日本代表とスコットランド代表が戦った場所だ。
 20代前半はエディンバラのチームメイトであるマイク・ブレアーの陰にかくれがちだったが、2010年11月のオールブラックス戦においてブレアーとの入替出場でテストマッチデビューを果たす。2012シーズンからはスターターに定着したが、当時の代表でのポジションはSOだった。翌2013シーズンより正SHの座をつかむとともに、スコットランド代表の第113代キャプテンに就任。傑出した統率力でチームをまとめ上げ、2015年ラグビーワールドカップの準々決勝ではオーストラリアを34-35と追い詰めて、同年のワールドラグビー年間最優秀選手候補にもノミネートされた。
 プレーヤーとしての武器は、正確無比のパスとキックを駆使した安定感あるゲームメイク力と、人間力の大きさを感じさせるリーダーシップだ。緩急を効かせた球さばきで味方選手の持ち味を引き出し、相手防御に隙ができればすかさずピンポイントのキックを蹴り込んでチャンスに導く。チームが劣勢に陥った時は、魂を奮い立たせる激励と闘志みなぎるタックルで仲間を鼓舞。難しい位置からでも難なく決めるゴールキックは、世界トップクラスの精度を誇る。
 多くの地元ファンに愛されたグロスターに別れを告げ、昨年のトップ14王者であるクレルモン・オーヴェルニュに今季加入。第4節まで全試合に出場し(うち先発2試合)、第2節のトゥーロンとの大一番ではフル出場して21-16の勝利に貢献するなど、さっそく真価を発揮している。冷静なコントロール力と不屈のスピリットを併せ持つ男の存在は、連覇を狙うチームにとって試合を重ねるごとに大きくなりつつある。
▼グレイグ・レイドロー[SH/クレルモン・オーヴェルニュ]
BIOGRAPHY
DOB/Age◎1985年10月12日生まれ、31歳
Birthplace◎スコットランド・エディンバラ
Height/Weight◎176センチ、78キロ
Career◎スコットランド代表(2010〜/58キャップ)、エディンバラ(2006〜2014)、グロスター(2014〜2017)、クレルモン・オーヴェルニュ(2017〜)

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