国内 2017.09.26

4連敗に「練習の時から厳しく」。東芝10年目の宇薄が感じる「楽しい」とは。

4連敗に「練習の時から厳しく」。東芝10年目の宇薄が感じる「楽しい」とは。
東芝ブレイブルーパスの宇薄岳央。写真は第3節のパナソニック戦から(撮影:松本かおり)
 国内最高峰トップリーグで過去に5回優勝も前年度は9位に終わった東芝は、前7人制日本代表ヘッドコーチの瀬川智広監督が7季ぶりに復帰も今季ここまで4連敗中だ。
 9月22日は、豪雨の東京・秩父宮ラグビー場での第5節で神戸製鋼に25−32と惜敗した。22−22の同点に追いつかれた後半17分のトライシーンには、神戸製鋼のパスがスローフォワードの反則だったのではと指揮官は抗議。投げた神戸製鋼のメンバーも自らの幸運を認めていただけに、東芝陣営には口惜しさが残った。
 もっともこの日FBとしてプレーした宇薄岳央は、敗因を自分たちのなかに見出そうとする。後半に重なったキックミスなどを踏まえ、こう口にするのだった。
「瀬川さんも試合前に『小さなミスの積み重ねで、やられるよ』という話をしていたのですけど、タッチラインの外へ切らなあかんところを切れず、カウンターで持っていかれて…。練習の時から厳しくやらないと、試合での厳しさは出てこなかった…」
 
 大阪・東海大仰星高、同志社大を経て入社10年目。身長180センチ、体重87キロのフィジカリティを活かしたパワフルなアウトサイドBKとして、2011年のワールドカップニュージーランド大会に出るなど日本代表7キャップを取得。近年は若手との定位置争いなどもあり昨季の先発機会は3度に止めたが、今季は開幕から5戦連続で先発している。この日の神戸製鋼戦でも、自陣ゴール前まで駆け戻っての強烈なタックルなどで魅した。
 瀬川体制下、チームは立ってボールをつなぐ「スタンディングラグビー」というクラブの伝統的戦法に立ち返る。効率的な陣形形成による攻めが全盛となった現代ラグビー界にあって、臨機応変にランナーへのサポートを積み重ねる挑戦に踏み切っている。
 成功の秘訣に「選手が考えてやらないといけなくなっている」と判断力強化を挙げる宇薄は、いまのクラブでの下地作りを前向きに捉えている。
「僕がすごく思うのは、いまは選手に裁量をくれている。スタンディングラグビーをやるうえでは選手が考えないといけないのに、以前(第1次瀬川政権下)は、立川さん(剛士・現関東学院大BKコーチ)、仙波さん(智裕・現同志社大BKコーチ)、廣瀬さん(俊朗・現BKコーチ)というキーの人たちに使われていたんだなと(改めて)思っていて。いいFWはいるので、BKの選手が意識を変えないと。どうやって殻を破るか…。やっていて楽しいです」
 神戸製鋼戦ではいくつかのキックミスに泣かされたものの、それ以外の場面での陣地獲得とそのプロセスには「意思統一の部分は良く準備ができていた」と確かな手ごたえをつかんでもいる。29日には秩父宮で、豊田自動織機との第6節をおこなう。
(文:向 風見也)

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