国内 2017.09.01

敗戦にミーティング4時間。日本代表入りした東海大・鹿尾貫太の夏。

敗戦にミーティング4時間。日本代表入りした東海大・鹿尾貫太の夏。
東海大の鹿尾貫太。写真は春季大会の帝京大戦から(撮影:井田新輔)
 大学選手権で2季連続準優勝の東海大は、タフなサマーキャンプを送った。
 北海道・網走合宿中の8月17日、慶大との練習試合を24−35で落とした。ここからチームは、4時間あまりのミーティングを開いた。春に日本代表デビューを果たした鹿尾貫太は、その時の様子をこう振り返る。
「なぜ、ああいうゲームになってしまったのかというところから、原点に立ち返って問題を挙げていった。そうしたら4時間…。長かったのですが、必要なミーティングでした」
 以後は20日の同志社大戦を92−14で、長野・菅平に移って挑んだ24日の早大戦を52−5でそれぞれ下した。もっとも、木村季由監督いわく「相手の調子がよくないなか…」とのことだ。
 早大戦から中2日で挑んだ27日の明大戦では、防御の立ち遅れや反則が目立って19−42と大敗した。鹿尾は悔しそうに振り返る。
「根幹である基本スキルの徹底、コンタクトでの圧倒というところで、いまいち自分たちの強みを出し切れていなかったと思います。一歩、前進しても後退していたら、結果的に前進はできない。同じミスを繰り返さないようにしないと、チームとしての成長はない。これからは、これまでやってきたことを徹底してできるようになりたいです」
 セットプレーの安定やフィジカリティの強靭さを看板としながら、大学選手権8連覇中の帝京大にあと一歩及ばず。ここ数年来のプロセスを鑑み、木村監督は「いまは複数のオプションのなかからどう判断していくかという、難しいことをしている。それにチャレンジしないと、シンプルなところも活きてこない」。クラブの肝は維持しながら、選手がゲーム中に的確な判断を下すよう促している。
 今季の野口竜司主将は、日本代表に入って春に組まれた7つのテストマッチすべてに先発。その競技への造詣の深さはクラブ内でも絶対的とされる。とはいえいまの東海大は、1人の頭脳に依拠する組織は目指していない。
 4〜5月に野口と代表入りしたCTBの鹿尾は、BKリーダーとしてこう話す。
「ハドルを組む時はFWだけ、BKだけじゃなく、全員で。同じ考えを持ってやっていこうと、今年の夏合宿で決めていきました。竜司頼みになってしまっているところもあったので、他のリーダーが周りを鼓舞し、底上げしていかないと…。それは、自分の胸に刻んでいきたいです」
 
 加盟する関東大学リーグ戦1部は9月に始まり、東海大は17日に日大と初戦をおこなう(東京・キヤノンスポーツパーク)。この時期、野口主将は教育実習のためチームを離れる。残された部員は、どう組織力を高めるか。
(文:向 風見也)

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