海外 2017.08.29

豪州NSWシュートシールド2017、ワリンガがノースを倒し涙の歓喜!

豪州NSWシュートシールド2017、ワリンガがノースを倒し涙の歓喜!
歓喜の中で優勝盾を掲げるワリンガ。左がNO8サム・ワード副将。(撮影/YASU TAKAHASHI)
 最高の雰囲気だった。
 8月26日、オーストラリア・NSW州のクラブラグビー選手権(Shute Shield)のクライマックス、グランドファイナルがおこなわれた。頂上決戦のカードはワリンガ×ノーザンサバーブスだ。
 混戦となった今年のシュートシールド。もともと実力が拮抗しているコンペティションがさらにヒートアップしたのは、下位グループの健闘があったからだった。
 中でも最終的には8位で終わるも、ウェストハーバーの奮闘が目立った。ワラターズでの指導経験があり、トップリーグ、リコーブラックラムズで指揮を執ったことのあるトッド・ローデンがヘッドコーチに就任して上昇した。
 シーズン序盤は苦しんだものの、スーパーラグビーのウィンドウマンス中断中にはワラターズのタンゲレ・ナイヤロヴォロが出場して活躍を見せた。ファイナル進出の常連、シドニーユニ、イーストウッド相手にそれぞれ2戦2勝と今季負けなし。終盤にはランドウィック、マンリーも倒した。
 結果、イーストウッドは6位に滑り込むのがやっと。昨年準優勝のシドニーユニは7位に沈みプレーオフ進出を逃した。
 混戦のリーグの中で好調を維持し、中盤から最終節まで首位を守り続けたのはマンリーだ(レギュラーシーズン1位)。しかし、プレーオフ初戦でイーストウッドに敗れる。プレーオフのシステム(*1)によって準決勝に進む事にはなったが、そこでも再び立ちはだかる相手がいた。
 宿敵・ワリンガ、同じシドニーノーザンビーチをホームとするクラブだ。レギュラーシーズンではお互いアウェー戦で勝利し、1勝1敗だった。
*1=プレーオフはレギュラーシーズン上位6チームにより行われ、1位×6位、2位×5位、3位×4位の各勝者と、敗者の中からレギュラーシーズン最上位の1チームが準決勝に進出する。
 今季の決着をつける戦いとなったワリンガ×マンリー。そのローカルダービーを経て決勝に進んだのはワリンガだった。マンリーはレギュラーシーズン最終節のウェストハーバー戦より3連敗で失速…。早いシーズンオフを迎えることになってしまった。
 その一方で、シーズン終盤に上昇したチームがあった。昨年41年ぶりに王者となったノーザンサバーブス(ノース)だ。ノースはレギュラーシーズンで5位だったものの、プレーオフ初戦でサザンディストリクツ、準決勝でイーストウッドを倒す。ディフェンディングチャンピオンの底力を見せ、決勝まで勝ち上がった。
 8月26日におこなわれたグランドファイナは、昨年に続きノースシドニーオーバルでおこなわれた。ノースにとってはホームであり、連覇を手にするに万全の環境だった。
 しかし、熱狂的なワリンガのサポーターがそうはさせなかった。多くのサポーターが詰めかけ、試合前から「ワーディ、ワーディ!”Wardy, Wardy!”」の声を会場に響き渡らせた。
 このコールは今年6月、同クラブの下位グレードの試合中の怪我により亡くなったロッキー・ワード(Lachlan Ward/25歳)と、ワリンガのバイスキャプテンで、ロッキーの兄であるサム・ワード(Sam Ward/この試合にNO8で出場)の愛称。会場は独特なワリンガカルチャーの空気に包まれた。
 試合前、グラウンドの中央に突如ヘリコプターが着陸した。元ワラビーズのニック・カミンズとジュリアン・ハクスリーが、優勝盾「シュートシールド」を会場に届ける演出だった。
 そして国歌斉唱。レフリーを担当したのは、世界のテストマッチでも活躍するアンガス・ガードナーだった。
 PGで先制したのはノース。しかし最初にトライを挙げたのはワリンガだった。得点は時間をかけながら交互に動く展開。前半は13-12でノースがリードして折り返した。
 後半に入ると、早々にワリンガがPGで逆転した。その後、両者がトライを挙げ、一時は20-20の同点に。さらにお互いのトライでスコアは27-25と動き、ワリンガがリードして終盤に差し掛かった。さらにワリンガはPGで加点。最終的に25-30で逃げ切った。
 2005年以来12年ぶりの優勝。試合終了のホイッスルが吹かれると、ワリンガの選手たちは歓喜。スタンドからはサポーターたちが一斉にピッチになだれ込んだ。多くの者の目には涙。亡き弟のシューズを履き、自らもトライを挙げて渾身のプレーを見せたサム・ワードはサポーターに担ぎ上げられ、歓喜の集団の中心にいた。今年のシュートシールドは、涙の優勝で幕を閉じた。
 ワリンガは女子チームも輝いた。連覇中だったシドニーユニを決勝で倒す。アベックでの優勝だ。
 ちなみにイーストウッドでプレーしていた土佐誠(前NEC)は、シュートシールドではベンチからの出場が多かった。そのため、2ndグレードによるコリンケアードシールド(Colin Caird Shield)でもプレー。同コンペティションでイーストウッドはレギュラーシーズンを首位で終え、プレーオフも順当に勝ち上がった。
 同クラブは1stグレードが準決勝で敗退したこともあり、タイトル獲得の期待がかかったが…同決勝ではシドニーユニに完敗。準優勝となった。
(リポート/YASU TAKAHASHI)

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今季イーストウッドでプレーした前NECの土佐誠。(撮影/YASU TAKAHASHI)
【Shute Shield 2017レギュラーシーズン最終順位】
1. マンリー (Manly)
2. サザンディストリクツ (Southern Districts)
3. ワリンガ (Warringah)
4. ランドウィック (Randwick)
5. ノーザンサバーブス (Northern Suburbs)
6. イーストウッド (Eastwood)
7. シドニーユニバーシティ (Sydney University)
8. ウェストハーバー (West Harbour)
9. イースタンサバーブス (Eastern Suburbs)
10. ゴードン (Gordon)
11. パラマッタ (Parramatta)
12. ペンリス (Penrith)
【NSW Premiership Competition 決勝結果】
◆Shute Shield (1st Grade) 
Warringah 30-25 Northern Suburbs
◆Colin Caird Shield (2nd Grade) 
Sydney University 51-14 Eastwood
◆Henderson Shield (3rd Grade) 
Warringah 41-17 Manly
◆Henderson Cup (4th Grade) 
Sydney University 17-14 Northern Suburbs
◆W.Mcmahon Memorial Shield (1st Colts)
Sydney University 63-15 Eastern Suburbs
 
◆Shell Trophy (2nd Colts)
Sydney University 27-10 Eastern Suburbs
◆Bill Simpson Shield (3rd Colts)
Randwick 29-12 Sydney University
◆Sydney Women’s Rugby/ Jack Scott Cup
Warringah 21-17 Sydney University

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