国内 2017.08.12

リハビリ中は「草の根」。サントリー真壁伸弥、連覇&代表復帰へ切り替え。

リハビリ中は「草の根」。サントリー真壁伸弥、連覇&代表復帰へ切り替え。
吼える真壁伸弥。昨年度の日本選手権決勝より(撮影:松本かおり)
 前年度に国内最高峰トップリーグの王者となったサントリーへ、真壁伸弥が帰って来た。
 今季開幕を10日後に控えた8月8日、本拠地の東京・サントリー府中スポーツセンターでのトレーニングマッチに先発する。
 昨季多くの試合でLOのコンビを組んだジョー・ウィーラーとともに、同じ府中市の東芝との一戦を61分間、プレー。自身が主導するモールで2つのトライを演出するなど、61−17のスコアでノーサイドを迎えた。
 サンウルブズの一員として国際リーグのスーパーラグビーに参加していた5月、足首を故障。6月の日本代表ツアー時も、合流間もなくふくらはぎを痛めて離脱していた。サントリーに戻って迎えた今度の復帰戦を白星で終え、沢木敬介監督との事前のやり取りなどを冗談交じりに明かした。
「沢木さんと相談して、きょうは40分出るという約束だったのですが…破られましたね!」 
 本来は開幕戦以降の本格合流を考えていたが、復帰を前倒しにしていた。
「いまはチームのLOが少なくて、(練習試合は)いつも同じメンバーでやっていた。それに、開幕前に僕とジョーを組ませたかったというのもあったろうし…。怪我をした部分が足首、ふくらはぎという重要な部分だったので、長期的に(リハビリを)やる予定でした。11月(日本代表の再合流時期)をターゲットにできるように、しっかり治して、トップリーグでいいパフォーマンスができるようにしたいです」
 身長192センチ、体重119キロの30歳。突進や防御でのインパクトで魅し、日本代表としては2015年のワールドカップイングランド大会で歴史的3勝を挙げた。
 2019年のワールドカップ日本大会出場に向けても、やれることを全うする。今年の雌伏期間中は、国立スポーツ科学センターなどでリハビリを続けながら都内近郊の飲食店を回った。ワールドカップのポスターを店内に張ってもらうなどし、その様子を自らのFacebookにアップした。
 題して「ラグビ草の根運動(原文ママ)」。ウィスキーエキスパートの資格を持つサントリーの社員選手は、当時の行動について控えめに語るのみだ。
「あの時はサンウルブズとの契約期間中(社業が免除されていた)。だったら、ラグビーの普及ができるな、と。好きなことをさせていただきました」
 一昨季までチームの主将を務めた真壁は、周りに追われながら連覇を目指す今季を「そこが難しいところ」とシビアに見つめる。この日も仲間がトライを決めた後の円陣で、その先のプレーについての重要項目を大声で伝達。引き締め役を買って出ていた。
「自分が主将をしていた時も、優勝した次の年(2013年度)にタイトルを獲れなかった。いまはその時からチームにいて、チャレンジャーになる気持ちがいかに大事かをわかっているメンバーもいるので、しっかりとやっていきたいと思っています。慢心してはいけない」
 11月にある日本代表ツアーへの選出に向け、まずはサントリーの背番号「5」の役割を全うする。
(文:向 風見也)

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