国内 2017.06.26

緑、黒、黄×黒…。誇りと個性の繋がり感じた関東大学オールスターゲーム。

緑、黒、黄×黒…。誇りと個性の繋がり感じた関東大学オールスターゲーム。
好ゲームとなった対抗戦選抜×リーグ戦選抜。(撮影/松本かおり)
 秩父宮ラグビー場のメインスタンドには、クラブの仲間や友人、家族が詰めかけていた。ピッチに立つ者たちが、リーグの代表、チームの顔、そしてひとりのプレーヤーとしての誇りを胸に戦う空気があった。
 6月25日におこなわれた『at home presents 関東大学オールスターゲーム2017』(第5回関東大学オールスターゲーム)のメインゲーム、対抗戦選抜×リーグ戦選抜は36-31の接戦だった。互いに接点でファイトし合い、好タックルも。花試合でなく、緊張感ある好ゲームとなった。
 ストッキングだけ自チームのものを着用と、バーバリアンズスタイルで戦うこの試合。両チームともよく結束していた。
 前半3分、先制トライを挙げたのはグリーンのストッキング。蹴り込んだキックからつかんだチャンスをFB中川和真(大東大)が決め、リーグ戦選抜に先制点をもたらした。
 しかし前半を17-5とリードしたのは対抗戦選抜。20分過ぎからの20分で3トライを奪った。
 青が基調のジャージーを着た対抗戦選抜は、まず21分に相手のノックオンから切り返し、最後はSH小畑健太郎(帝京大)がインゴールに入った。34分にはスクラムからの攻めてCTB堀越貴晴(慶大)が追加点。41分にはラインアウトからのモールを押し込み、HO堀越康介主将(帝京大)がスコアした。
 後半は、まずリーグ戦選抜が攻めた。走ったのは流経大の弾丸ランナー、CTBタナカ・ブランドン・ムゼゲニエジ。豪快に防御を突破し、7点差に迫る。
 しかし対抗戦選抜は要所で体を張って流れを呼び寄せ、勝負を決めた。
 7分、CTB矢富洋則(帝京大)がトライを奪ってふたたび差を広げる。その直後、NO8アマト・ファカタヴァ(大東大)に豪快に走られて5点差に迫られる展開となったが、接点でハードに戦い続けて流れを呼んだ。後半24分、FL加藤広人(早大)のトライで引き離しにかかる。そして35分、とどめを刺した。
 殊勲の走りを見せたのはFB尾?晟也だ。リーグ戦選抜が自陣スクラムから攻め、大きくゲインをした後のミスを見逃さなかった。こぼれたボールを拾った仲間の後方から迷いなく走り込む。あっという間に相手を置き去りにした。試合終了間際に2トライを返されて5点差まで迫られたから、大きなプレーだった。
 そのパフォーマンスを評価されてMVPに選ばれた尾?は、前日まで日本代表に帯同しており、チームに合流したのは試合当日の午前中だった。
「(アイルランドとの)試合には出場できませんでしたが、ティア1国と戦うチームの雰囲気を感じられて勉強になったし、メンバーに入れず力不足を感じました。これから先、高い意識を持って過ごすようにしないと」
 MVP獲得については、「特にFWがディフェンスで体を張ってくれたお陰。こういう試合展開の中でトライを取れ、(MVPに)選ばれたのが嬉しい」と語った。
 この日はメインゲームの前にセブンズの試合もおこなわれ、リーグ戦5部×6部、リーグ戦3部×4部、対抗戦2部×リーグ戦2部、対抗戦女子×リーグ戦女子のカードが組まれた。これらの応援もあって、対抗戦A、Bと、リーグ戦1部〜6部のほぼ全チーム、全部員が秩父宮ラグビー場に集合。思い思いのスタイルでクラブの代表者たちに声援を送り、スタジアムの空気を盛り上げた。
 対抗戦選抜の岩出雅之監督は、「多くの人がつながり、世界が広がる。縁を作る素晴らしい機会」と、このイベントの意義を口にした。
「おもしろくない人を作らない。全員が集える機会、ということを考えた結果だと思います。セブンズの試合を見ていても、対抗戦とリーグ戦の対抗意識が出る応援が見られたり、多くの人が楽しめていました。上智や東大の選手に試合前に声をかけると緊張していましたが、彼らもいい経験をしたと思います。いいイベントです。これから、もっと多くの人たちの耳や目に届くようにしていきたいですし、そうしていきましょう」
 緑や黒や白、黄×黒、青など、いろんな色のストッキングがトライラインを越えた80分。勝利チームを率いた堀越主将は、その場の空気も試合も楽しめたと気持ちよさそうだった。
「(コンバインドチームなので)いろんなことを言っても混乱するだけ。だからFW、BKに大事なことだけを伝えました。試合時間が経つごとにコミュニケーションが高まって、最後はよくまとまっていたと思います」
 桐蔭学園高校時代の仲間との久々の時間も快適だったと振り返った。
「(1学年下のPR)祝原(明大/涼介)は高校時代は何も言わないタイプだったのに、きょうはスクラムで『こうしてください』と言ってきたりしました。同期の佐藤(大樹/慶大)には、自分と一緒にチームを引っ張ってもらいたいと伝え、ラインアウトも任せた。お互いに成長を感じられました」
 そんな刺激を受けたのはキャプテンだけではないだろう。
 多くの若者が、昔のチームメートやライバル校の仲間と、同じような時間を過ごした一日だった。

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↑リーグ戦5部×6部(撮影/松本かおり)

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↑リーグ戦3部×4部(撮影/松本かおり)

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↑対抗戦2部×リーグ戦2部(撮影/松本かおり)

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↑対抗戦女子×リーグ戦女子(撮影/松本かおり)

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