海外 2017.02.25

王者だって同じ舞台にいる。田村熙、サンウルブズ2年目開幕戦で10番の矜持。

王者だって同じ舞台にいる。田村熙、サンウルブズ2年目開幕戦で10番の矜持。
國學院栃木→明大→東芝。「自分たちから仕掛ける」。
(撮影/松本かおり)
 デビュー戦は大舞台だ。対峙するのは昨季のスーパーラグビー王者。高揚感と使命感が入り混じっている。
 2月25日に秩父宮ラグビー場でおこなわれるサンウルブズの2017年シーズン開幕戦。スーパーラグビー2年目のスタートを切る同チームの10番を背負う。田村熙は「まずは与えられた役割をきっちりやる」と言った。
「それをやらなければ、自分のやりたいことをやるもなにもないと思っています」
 今季初めてスコッドに招集された。以来、このチームで準備を重ねてきたことを出せる機会を得ることができて嬉しい。試合の4日前、火曜日に先発することを告げられた。
「やることは明確になっています。自分がやれること、やらなきゃいけないことは限られていますから、そこに集中したい。FW、BKが動きやすいようにしたい」
 アウトサイドの選手からの情報を聞いて、9番、10番、12番というインサイドの選手がゲームを動かす。その中でも、SOがキーマンであるのは間違いない。ゲームをしっかりコントロールすることが最大のミッションだ。
 高い攻撃力を誇るハリケーンズには能力の高いアタッカーがたくさんいる。キックでエリアを取ることは重要も、それが不用意だったり精度が低ければ、世界的WTBのジュリアン・サヴェアやコーリー・ジェーン、伸び盛りのFBジョーディー・バリットらで成すバックスリーの餌食になってしまう。
「そのあたりは頭に入れてくプレーします。相手の攻撃力は高い。受けてしまえばやられるし、メンタル的にもきつくなるので、こちらから仕掛けていくことを続けていきたい」
 チームは大まかなオプションマップに沿ってゲームを進めるが、やはりその局面、局面で、SOが明確に意思を伝えることが大事。「FWも含め僕がそれをやれたら、全員で(同じイメージを持って)動ける」と言う。自分がボールを動かし続けるスタイルの発信源になる。
 スキのない相手に勝とうと思えばあれもこれも必要だ。「考えすぎると押しつぶされる」と、司令塔にかかる負担は大きい。
 そんなプレッシャーから解放させてくれる言葉を口にしてくれたのが、ゲームキャプテンを務めるエドワード・カークだ。
「カーキーは、去年のチャンピオンチームと試合できるのはシアワセなことだ、と。ただ。あちらだって東京での試合は初めてのことなんだから、何がおこるか分からない。思い切って戦おう、と言ってくれました」
 誰もが立てる舞台ではない。チーム全員が戦えるわけでも。そこでプレーできる喜びを力に変えたい。
 初めてのスーパーラグビーだ。「正直、強度もコンタクトの激しさもイメージできない」と言う。
 ただ必要以上に相手を大きく見ることもない。トイメンの21歳、オテレ・ブラックについても「ここにいるのだからいい選手なのでしょうし、リスペクトもします。でも、負けてはいけないというか、同じ舞台に立っているのだから思い切って勝負したい」
 若者にとっては、夢を掴む場所。それがスーパーラグビーだ。王者相手のホームでのオープニングゲーム。舞台は整っている。勝利を得たなら、サクセスストーリーの始まりが世界へ発信される。

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