国内 2017.02.20

“東の横綱”強し。桐蔭学園、関東新人大会決勝を大勝で飾る。

“東の横綱”強し。桐蔭学園、関東新人大会決勝を大勝で飾る。
関東高校新人大会決勝。水色のジャージィが桐蔭学園、黄色が國學院久我山(撮影:多羅正崇)
 「センバツ」こと全国高校選抜大会への切符を懸けた関東高校新人大会は2月19日、東京・日本大学稲城グラウンドで決勝戦・順位決定戦をおこなった。
 決勝戦は、桐蔭学園(神奈川)69−0で國學院久我山(東京)を下して、4年ぶり8度目の優勝を決めた。NO8?田風吾がチーム最多の3トライを挙げるなど、計11トライの猛攻でゲームを支配。高校日本代表の候補合宿で怪我を負ったキャプテンHOの原田衛を欠くなか、69得点&完封で関東を制した。
 立ち上がりは國學院久我山の好守が光った。竹内伸光監督が「チームを鼓舞できるキャプテン」と感謝するFL/NO8大石康太キャプテンをはじめ、随所で鍛錬されたダブルタックルを披露。アタックを封じ込められた桐蔭学園の藤原秀之監督も、「最初の10分くらいは前進できなかった」と序盤戦を反省点として挙げた。
 しかし前半10分、アンストラクチャーから均衡が崩れた。桐蔭学園はターンオーバーされたボールを自陣深くまで蹴り返されるが、間一髪のセービングからカウンター攻撃を仕掛け、最後はPR細木康太郎がゴール下に先制トライを決めた。
 PR細木は小学校時代にサッカークラブでセンターバックを経験。中学時代に横浜ラグビースクールで楕円球と出会った。スクール時代からFW第1列のPR細木は、「FWに力のあるランナーがいるので、そこは強いと思います」。
 そんな強力FWのボールキャリーのみならず、この日はカウンターラックも冴え渡った。2トライを加えた桐蔭学園は24分、敵陣でカウンターラックに成功。ボールを左へ展開すると、1年生WTB佐々木隼が力強いランで左隅を切り取った。28分にはNO8?田が技アリのインターセプトで1トライを追加。桐蔭学園が31−0とリードして前半を折り返した。
 後半早々、風下の國學院久我山は、浅くなったオープンキックが好位置で相手ウイングへ渡ってしまい失トライ。一方、風上に立った桐蔭学園はキックでエリアを獲得しながら前進し、敵陣に入ればラックサイドで強力FWがフェイズを重ねるなど、堅実な戦いぶりで着実に加点。後半だけで6トライを挙げ、うち4トライはFWがスコアラーとなった。
 0−69の最終スコアでノーサイドとなった國學院久我山の竹内監督は、「今までやってきたことを試そうとしましたが、前に出られませんでした。タックルミスなど、自分たちのミスから崩れてしまいました」。関東2位通過で迎えるセンバツに向けては、「ひとつでも上に行ければ」と意気込みを語った。
 一方、桐蔭学園の藤原監督は、ファイナルでの完封劇を「もっと立ってつなげると思います。まだまだですね」と振り返った。
 昨年の決勝では東福岡(福岡)に17−33で敗れ、初優勝を逃しているセンバツについては、「体が小さいので、体をもう一回鍛えます。メンバーに入っていないなかにもおもしろい子がいるので、切磋琢磨してやっていきます」と語った。

2

3位決定戦。後半22分、右中間にトライする流経大柏のPR飯野(撮影:多羅正崇)
 この日は決勝戦のほか、順位決定戦2試合(3位決定戦・5位決定戦)がおこなわれた。
 3位決定戦では、茗渓学園(茨城)と流経大柏(千葉)が激突。10−10の同点で迎えた後半8分、流経大柏はSH野村悠が抜け出し、この日初めてリードを奪う。しかし直後の11分、茗渓学園は1年生FB植村陽彦がキックカウンターから鋭くラインブレイク。左中間にグラウンディングし、キッカーのSH荻野拓郎の難しいゴールキックも決まり、ふたたび同点とする(17−17)。
 一進一退の好ゲームは22分、流経大柏がゴール前でFWにこだわりPR飯野翔也がグラウンディング。ゴール成功で17−24とするが、茗渓学園は後半ロスタイムの31分、CTB大芦征也がゴール下にトライ。ゴールキックも決まり24−24となってノーサイドを迎えたが、トライ数で1トライ上回った(4−3)流経大柏が3位となった。

3

5位決定戦。目黒学院の強力ランナーに対し、深谷は粘り強いディフェンスで対抗(撮影:多羅正崇)
 5位決定戦は、深谷(埼玉)と目黒学院(東京)で争われた。
 3月に埼玉・熊谷ラグビー場で開幕するセンバツへの切符を手にする関東代表は、関東新人大会の上位5チーム。
 センバツ開催県である埼玉で新人大会を制している深谷は、開催県に与えられる出場権1枠をすでに得ているが、勝利でセンバツ出場を飾りたかった。一方、目黒学院は負ければセンバツ出場を逃すという、注目の対戦となった。
 目黒学院は5点ビハインドで迎えた後半10分、クイックリスタートから相手ゴール前でフェイズを重ねて、LO鈴木勇志が中央にトライ。WTBエドバー・マビンがゴールキックを沈めて19−19の同点とする。
 後半は縦突破からのオフロードパスが次々と決まった目黒学院だったが、この日は深谷が執念のディフェンスを見せた。深谷の横田典之監督は試合後「チーム全体として前に出て、何度も起き上がってタックルしようという試合でした。狙い通りできたと思います」と選手の奮闘を誇った。
 同点に追いつかれた深谷だったが、その後ラインアウトモールやインターセプトなどで3連続トライ。25分に目黒学院のNO8ハラシリ・シオネに独走トライを許すが、試合終了間際にも1年生CTB大屋凌真が左隅でスコアラーとなった。キッカーのFB井下英司が、強風のなかゴールキックを7本中6本成功させるなど、得点を積み上げた深谷が47−24で目黒学院を退けた。
 センバツ開催県枠を保持していた深谷が関東代表5枠に入ったことにより、埼玉県新人大会で準優勝だった川越東へ開催県枠が渡った。
 全国の強豪校が集う全国高校選抜大会は3月31日、埼玉・熊谷ラグビー場で開幕する。関東新人大会の終了時点で、関東からの出場校は、桐蔭学園、國學院久我山、流経大柏、茗渓学園、深谷、川越東(開催県枠)の6校となっている。
(文:多羅正崇)

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