海外 2017.02.18

TLオールスターズ山田章仁、地元での主将にわくわく。ジョセフHC眼光鋭く。

TLオールスターズ山田章仁、地元での主将にわくわく。ジョセフHC眼光鋭く。
インタビューに答える山田章仁主将(撮影/?塩隆)
 パナソニックの山田章仁は背番号に「39」をチョイスした。生まれてから18歳まで過ごした場所でプレーするとあって、故郷に感謝の意を届けたいという。
 2月18日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州。国際リーグのスーパーラグビーへ日本から参戦するサンウルブズの壮行試合がある。
 地元の鞘ヶ谷ラグビースクール、小倉高から慶大、ホンダ、ウェスタン・フォース、パナソニック、サンウルブズと国内外のクラブを渡り歩いてきた山田は、トップリーグ選抜の主将として出場する。
 2月17日には前日練習のため会場入り。去り際に「いいグラウンドですね」と呟き、「明日も、強いですよ」と続ける。海沿いとあって風が舞うスタジアムにあって、地元民ならではの土地勘を匂わせた。
 スタンド下の取材エリアでは、テレビ用のインタビューを受ける。日本代表入りする2013年以前から人気選手だった31歳は、快活に答える。
「皆さん、北九州にようこそ! 観客の皆さんと距離が近いスタジアム。声援をダイレクトに受けられるので、選手にとってやりがいがあると思います。皆、きょうからわくわくしています。僕が一番、わくわくしていますけど」
 2月14日に現地入りし、15日からチームキャンプへ参加。日本代表も率いるジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)のもと、戦術のすり合わせに時間を割く。フェーズが重なった時の攻撃方法を確認する時は、自分と逆側にボールがあるうちにタッチライン際から声を張る。仕留め役のWTBの仕事として、攻めの段取りを味方へ伝える。
 春先のプレー先を未定とするなか、昨季プレーしたサンウルブズとのゲームを心待ちにする。
「去年も皆が一生懸命、準備をしていたのを知っている。明日、その皆と戦えるのは非常に楽しみです!」
 今回のトップリーグ選抜は、相手のサンウルブズから9名の選手をピックアップしている。それに関し代表指揮官でもあるジョセフHCは「彼らにたくさんのプレータイムを与える」と説明する。
「サンウルブズ側は、ティアティアがメンバーを決めた。初戦(スーパーラグビーの開幕節)を見据えたセレクションだと思います。こちらへ来たメンバーは、サンウルブズにいたら5〜10分しか出場時間がなかったかもしれない選手です。いまは(頭のなかに)60名くらいの代表スコッドがいて、そのうち50名がサンウルブズにいる。トップリーグ選抜の選手も加わるなか、この一戦で力量を見ていきたいと思います」
 サンウルブズと日本代表は同じ戦術を共有するとあって、当日はお互いの手の内を知る格好だ。
 もっとも山田は「レシピが同じでも、シェフが変われば味が変わる」。2月16日に小倉駅近くの井筒屋でトークイベントを行った際、こんな喩えで自軍の特色を強調。事実、サニックスの藤井雄一郎監督がコーチ陣入りして魅惑的なプレーも用意している。
 HOのリザーブに入ったパナソニックの新人、坂手淳史は、「まず明日勝つことに向けて、皆で戦いたい。1人ひとりの持ち味を活かせばすごいパワーが出るチームだと思っている。全員がいい形でゲームに臨めれば…」。サンウルブズへの追加招集や昨春以来の代表復帰を目指しながらも、まずは背番号「21」をつけるこの一戦へ集中する。
 より下剋上を意識するのは、合宿中にトップリーグ選抜入りが発表されたLOの福坪龍一郎か。習志野陸上自衛隊を辞めてトライアウトを経てサニックス入りしたのは、2014年の春。今季は初年度以来に戻ってきたトップリーグで、レギュラーとして活躍できた。
 ぶつかり合いでの強靭さを長所に、28歳の背番号「5」は大きな夢を描く。
「雑草は1つひとつのチャンスを活かしていかないといけない。アピール、したいと思っています。コンタクトのところで激しく仕事を…。(代表入りへの希望を)声を大にして言っていこうかと」
 ジョセフは、サンウルブズへプレッシャーをかける意味合いを込めて近鉄のアンドレ・テイラーら外国人BK3名を先発させる。日本代表経験者のカーン・ヘスケス以外はテストマッチ(国際真剣勝負)に出たことがないだけに、指揮官は「彼らも将来、日本代表入りを考えていたりもする。そのスタート、という意味もあります」とも匂わせる。
 多面的な要素を併せ持つトップリーグ選抜の80分は、14時、キックオフ。
(文/向 風見也)

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