海外
2017.02.17
サンウルブズのヘイデン・クリップス、ジャパン入りへタクト振る。
国際リーグのスーパーラグビーに日本から参戦するサンウルブズは、発足2年目にしてナショナルチームとの連関性を促進。スコッド編成に携わったとされる日本代表のジェイミー・ジョセフ ヘッドコーチ(HC)は、こう話していた。
「日本のラグビーのため、サンウルブズの選手は幅広く選んでいきたい。そこには外国人選手も含まれますが、リアン・フィルヨーン以外はいま現在日本代表資格がある、または2019年までにそれを獲得できる選手です」
代表指揮官の言葉通り、2017年のサンウルブズには他国代表経験のない外国籍選手が揃う。その1人がSOのヘイデン・クリップス。「クリップシー」という愛称を持つ、身長177センチ、体重82キロの26歳だ。鋭い仕掛けから軽快にパスをさばき、陣地獲得のキックでも魅せる。
2月18日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州での壮行試合(対トップリーグオールスターズ)では背番号10をつける。首脳陣からは「とにかく、チームを率いること」を期待されているようだ。
ただただ、声を弾ませる。
「とてもエキサイティング。今季初めての試合に出られることはすごくうれしい。ジャージィを獲りたいと手を挙げていた」
日本代表と同種の戦術を採用するサンウルブズにあっては、グラウンドの右端から左端にかけ計4つ程度のユニットを形成。スペースがどこにあるかを皆で共有し、そこへパス、キックを効率的に配する。
システム運用の鍵を聞かれたクリップスは、「難しい質問ですね」とひと呼吸、置く。もっとも前進できそうな味方を活かしたいからか、こう続けた。
「まずは相手のディフェンスをしっかりと観る。しっかりと観れば、次にどうするかがわかってくる。そしてポジショニング。いい位置取りをすれば(相手を引きつけるなどして)、他のチームメイトにいいチャンスを与えられる」
母国ニュージーランドではウェリントン・カレッジ、ペトネクラブで実績を積み、ITMカップ(地域代表選手権)のウェリントン代表、タスマン代表に選ばれてきた。初めてウェリントン代表に加わった2010年は、現日本代表HCであるジェイミー・ジョセフの指導を受けた。
過去3シーズンは東京ガスの一員として、下部リーグのトップイーストでプレー。それまでは海外に行ったこともなかったという。見知らぬ極東の地で、一般社員とともにチームを作ってきた。その経験は貴重だった。全員がラグビーに専念できるサンウルブズで日々を過ごすと、改めてそう実感する。
「社員の選手は大変だと思いました。疲れた状態でトレーニングへやって来る人もいました。いまは、全員がプロという環境。ありがたいです」
今年5月には、国内居住開始から丸3年を迎える。アイルランド代表などと戦う6月を前に、日本代表入りの条件を揃えられる。
「チャンスがあれば、ジャパンでプレーしたい。ただ、それは今季の自分がどうプレーするかにかかっている」
そう。とにかく目の前のタスクに集中する。壮行試合の向こう側に、サンウルブズにとってのスーパーラグビー開幕を見据える。25日、東京・秩父宮ラグビー場でのハリケーンズ戦に向け、まずは壮行試合での合格点が欲しい。
(文:向 風見也)