国内 2017.02.10

セブンズ日本代表キャプテンだった桑水流裕策、2016年度を振り返る。

セブンズ日本代表キャプテンだった桑水流裕策、2016年度を振り返る。
リオ五輪後はコカ・コーラで奮闘した桑水流裕策(撮影:Hiroaki.UENO)
 話は、2016年の大晦日にさかのぼる。
 NHKで放送される『紅白歌合戦』。ジャニーズ事務所所属のTOKIOが東京都庁前で「宙船」を謳うバックの映像に、過去のオリンピックの名場面が流れた。
「はい。実家にいて。その瞬間は見逃したのですが、両親が『映ってるぞ!』と。…嬉しかったです」
 他競技のメダリストたちと一緒に、男子7人制ラグビー日本代表の桑水流裕策も映っていたのだ。国民的番組の話題に触れると、桑水流その人は相好を崩す。
「(事前に)教えてくれていたら、録画もしたのですが」
 鹿児島県出身の31歳。2016年度は充実した時間を送った。
 長年選ばれてきた7人制代表の主将として、昨夏の五輪リオデジャネイロ大会に出場。身長188センチ、体重97キロの体躯で空中戦、地上戦に身を投げ出し、強豪ニュージーランド代表を破るなどして4位入賞を果たした。メダル獲得こそならなかったが、国中のスポーツファンを驚かせた。
 もっとも帰国後は、喜ばしいことばかりではなかった。
 コカ・コーラの一員として挑んだ、15人制の国内最高峰トップリーグ。代表への派遣を許してくれた所属先へ恩返しをすべく身体を張ったが、最終順位は14位と低迷した。
 しかも1月28日、本拠地のレベルファイブスタジアムであった入替戦では、トップイースト2位の日野自動車にぶつかり合いで苦しんだ。32−22と勝利も、こう反省した。
「あぐらをかいていたわけではなく、しっかりと分析をしたうえで、日野さんのスクラム、モールは止められると踏んでいました。ただ、日野さんのトップリーグに上がりたいという気迫がスクラム、タックルなどに現れていた」
 リオデジャネイロでの祭典が終わると、男子7人制日本代表は体制を刷新した。ダミアン・カラウナ新ヘッドコーチのもとでのプレーを期待される桑水流は、「招集の話はないので。次の世代に…」。まずは15人制のクラブであるコカ・コーラの一員として、できることをしたい。
「オリンピックでのメダルは獲れなかったですが、結果的には満足できたシーズンでした。そのなかでもチームは、入替戦に行ってしまった。自分自身、反省してプレーしていきたいです。もう、この場にいないように…」
 チームの上位進出へ、残された選手生命を捧げる。
(文:向 風見也)

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