国内 2017.01.14

4年ぶりの歓喜! サントリー、全勝でトップリーグ優勝決める。

4年ぶりの歓喜! サントリー、全勝でトップリーグ優勝決める。
笑顔、笑顔、笑顔。優勝を決めて喜ぶサンゴリアス。(撮影/早浪章弘)
 80分経過を告げるブザーが鳴る。スクラムから出たボールを黄色の10番が右サイドに蹴り出して歓喜の時は訪れた。
 1月14日、ノエビアスタジアム神戸。サントリーが27-15で神戸製鋼を破り、4シーズンぶりにトップリーグの優勝を決めた。15戦全勝だった。
 リーグ最終戦は静かな80分だった。神戸製鋼を圧倒して爽快な気分で頂点に立ちたかったサントリーだったが、そうはいかなかった。9分にフェーズアタックからLOアンドリース・ベッカーに先制点を許し、その4分後にはPGで追加点を許す。
 沢木敬介監督が言った。
「若い選手も多いので、明らかにいつもと違った。試合前の練習からコミュニケーションが取れず、パフォーマンスにも緊張が見られました」
 SH流大主将は立ち上がりを反省した。
「前半は神戸製鋼の方がハングリーでした。自分たちがやらなければならないことをやられてしまった」
 そんな序盤を過ごすも、今季一度も負けていないチームには芯が通っていた。昨季までより修正力が高い。全員で同じ絵を見てプレーできる集団になっていた。
「インターナショナル スタンダード」を合言葉に、自分たちの試合だけでなく、みんなで多くの国際試合の映像を見て、分析し、一人ひとりのラグビーの知識を増やした。だから、いまこの状況でやるべきことや打開策が、すぐにそれぞれの頭に浮かぶ。そうなったから判断が一致し、プレーがつながるようになった。この試合でも前半中盤以降、そんなチーム力が発揮された。
 前半22分のトライは、安定したスクラムからチャンスを掴んだ。CTB村田大志が抜けて敵陣深くへ。ふたたび組んだスクラムを押し込み、攻め、トライライン寸前まで迫った。最後はFLツイ ヘンドリックが決めた。前半終了間際の逆転トライはキックを絡めて攻め込み、相手反則後のラインアウトから激しく攻め立てた。最後はロングパスをWTB江見翔太に渡してトライ。14-8としてハーフタイムを迎えた。
 後半の立ち上がりはFB松島幸太朗が決めた。ラインアウトからフェーズを重ね、最後は、しなやかなランナーがタックルを振り切ってインゴールに駆け込んだ。今季安定したキックを見せるSO小野晃征のコンバージョンも決まり、21-8とリードを広げた。
 勝負が決まったのは後半13分過ぎだったか。後半5分、神戸製鋼がCTB山中亮平のトライ(コンバージョンも決まる)で21-15と迫った後のプレーだった。
 WTB江見が相手のパスを故意にはたき落としたとして(インテンショナルノックオン)、シンビンを告げられた後のスクラム。黄色いジャージーの固まりは、トライライン5メートル前まで迫っていた神戸製鋼ボールのスクラムをターンオーバーした。ピンチを脱し、そこからの10分を実に上手く戦い、14人での攻防にもかかわらずPGで加点した(後半18分/24-15)。ピンチを読み取った選手たちが集中力を高めて戦った結果だった。
 PR須藤元樹が振り返る。
「危機感を感じ(て集中し)ました。FW全員でドミネートできたスクラムだった」
 サンゴリアスFWはその後のスクラムでも押し続けた。そして終盤はファイナルラグビーで勝利に徹し、もう1PGを加えて27-15。シーズン全勝のままフルタイムの笛を聞いた。
「チャレンジャーとして1試合、1試合、丁寧に戦った結果が全勝。チームカルチャーを持とう、ハードワークをしよう。全員で同じ絵を描きながら、いまやるべきことは何かを考えて戦ってきました」
 沢木監督は、「まだ日本選手権がある」と気を引き締めながらも笑顔を見せた。
 加入2年目、主将1年目で栄冠を掴んだ流は、「きつい練習をみんなでやったことが報われた」と言った。
「たくさんのリーダーがサポートしてくれた。自分たちのラグビースタイルを信じられたから勝てた。うまくいかないこともあったけど、チームとして成長できたシーズンでした」
 対戦相手の神戸製鋼、ジム・マッケイ ヘッドコーチは、勝者をこう称えた。
「アタック、ディフェンス、セットピースのバランスがイチバンとれているチームがサントリーだった。コンスタントに力も発揮し、優勝するに相応しいチームだった」
 アタック一辺倒だったチームが進化し、柔軟性を得たからこそつかんだ栄冠だった。

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