国内 2017.01.01

早くもリベンジへの準備。抽選初戦敗退の國學院栃木。花園との因縁深まる。

早くもリベンジへの準備。抽選初戦敗退の國學院栃木。花園との因縁深まる。
ロッカールーム前で抽選の結果を伝える吉岡肇監督の言葉を聞く部員たち。(撮影/多羅正崇)
 次回進出権を獲得したのは日本航空石川(石川)――。
 ロッカールーム前の薄暗い通路で、吉岡肇監督が抽選結果を伝えた。國學院栃木(栃木)フィフティーンは身を固くして、指揮官の声にじっと耳を傾けていた。
 第96回全国高校ラグビー大会は12月30日、東大阪市花園ラグビー場で2回戦をおこなった。日本航空石川とBシードの國學院栃木との一戦は、19-19の同点で終了となり、抽選の結果、日本航空石川の3回戦進出が決まった。
 先制トライは前半9分、日本航空石川のSH藤原忍がこぼれ球をキックで蹴り進め、みずから左中間に押さえた。その直前、ボールに反応して背走していた國學院栃木のWTB堀井拓哉(3年)が、先に押さえたことをアピールしていた。
「(ボールを自軍インゴールに)着けたつもりだったんですけど……。そこをしっかりやっておけばと、悔いが残ります」(WTB堀井)
 日本航空石川はNO8アシペリ・モアラ(2年)、CTBシオサイア・フィフィタ(3年)のトンガ出身コンビを中心としたアタックが強烈。國學院栃木としては、ディフェンスに人数を割かざるを得ない存在だった。
「トンガ出身の二人が怖いので、彼らがボールを持ったら3人、4人と(ディフェンスに)行っていたと思いますよ。あの二人にはトライを取られていないですし」(吉岡監督)
 トンガ出身コンビの脅威は封じ込めたが、1トライを返して迎えた前半30分、ゴール前で日本航空石川のSO河井優(2年)にラインブレイクされて逆転を許した(12-7)。SO河井の外側には、NO8モアラがいた。
「前半の10番(河井)のトライは、(トンガ出身の)二人をマークすると空いてしまう、という。でも、それもあの二人の威力なんですよね」(吉岡監督)
 
 前半は日本航空石川が12-7 でリード。迎えた後半12分、國學院栃木は相手ゴール前のラックからFL藤牧拓真(3年)が持ち出して逆転トライ(12-14)。しかし日本航空石川はその5分後にPR大倉豊(3年)がインゴールを割って、19-14と再逆転に成功する。
 1トライ1ゴールで逆転の國學院栃木。ゴール目前でダブルモーションの反則を取られるなど、チャンスを活かしきれない展開が続くなか、試合終了間際の30分。
 オーバーとなった相手ラインアウトのスローイングを、SH本堂杏虎(3年)が拾って右へ展開。最後は左膝の前十字じん帯損傷から復帰したWTB堀井が「意地は見せられた」という同点トライを右スミに決めた。しかし難しい角度となったゴールキックが外れて、19-19でノーサイド。引き分け抽選を迎え、道が断たれた。
「ここで終わらせるにはもったいないチームですけど、ワクワクする攻撃がなかった。全国選抜とか関東大会で素晴らしい試合をして、期待してもらうんですが、花園でそれが発揮できない。(國學院栃木には)“花園の呪縛”というか、そういうところがあるんですよね」
 おととしの第94回大会では初戦で大分舞鶴(大分)に19-31で敗れている。
 國學院栃木では、毎年敗退が決定したその日の晩に、3年生を含めた選手全員の投票により、新チームのキャプテンを決定している。新チームのスキッパーはNO8福田陸人に決まった。先輩達のリベンジへ、準備が始まった。
 
 國學院栃木の花園との因縁は深まり、懸ける想いは、ますます強くなるばかりだ。  
(文/多羅正崇)

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