海外 2016.12.27

レジェンドが語るTOP14の魅力。〜三村勇飛丸編〜

レジェンドが語るTOP14の魅力。〜三村勇飛丸編〜
世界のトップ選手の動きを学べるテレビ観戦の魅力
フランスはFWのぶちかまし&スクラムの意思統一がすごい!
 フランスリーグTOP14へ五郎丸歩選手を送り出しながら、トップリーグでは「五郎丸ロス」をまるで感じさせない快進撃を演じているのがヤマハ発動機ジュビロだ。2016年12月24日、サントリーとの全勝対決・クリスマスイブ決戦には惜しくも敗れたが、チーム新記録となる開幕から12連勝をマークし、トップリーグに旋風を呼んだ。
 躍進の象徴が、ジェイミー・ジョセフ新HC(ヘッドコーチ)が率いる日本代表で初めての代表入りを果たし、初キャップを獲得したFWの6人だ。なかでも、ジュビロでもキャプテンを務めるフランカーの三村勇飛丸は、身長190センチ超級が居並ぶFW第3列にあって178センチという小型サイズながら代表初抜擢を受け、ジャパンでもリーダーの一人に指名を受けた。
 日本ラグビー新時代のリーダーが見据える世界のラグビー、そして欧州の、フランスのラグビーは?
――三村選手にとって、海外ラグビーを見る魅力はどういうものですか。
 勉強ですね。海外の同じポジションの選手がどんなプレーをするのかを見て、自分のプレーの参考にしています。今年(2016年)のスーパーラグビーは、普通に観客として見に行っていましたよ(笑)。
 特に参考になるのはオーストラリアの選手ですね。南アフリカやニュージーランドのフランカーには大柄な選手が多いけれど、オーストラリアには素早く動いてブレイクダウンワークをしている選手が多いイメージがあります。具体的に名をあげるなら、今年パナソニックワイルドナイツに加入したデーヴィッド・ポーコックですね。ワークレートが高くて、ジャッカル(タックルして相手からボールを奪い取るプレー)がうまい。自分の中ではお手本になっているし、自分が目指すべき姿だなと思っています。
――今シーズンは、初めて日本代表に選ばれて、欧州遠征を経験しましたね。生で経験したヨーロッパのラグビーはいかがでしたか。
 ヨーロッパはすごかったですね。特にウェールズ戦が行われたカーディフでは、7万人以上の観客の前でプレーできたことは素晴らしい経験でした。
 プレー面では、まっすぐ当たってくるのが印象的でした。その相手にタックルして、それを繰り返しているうちに疲労が足に来て、足が動かなくなる。日本では、走りあうことで疲れて、足が動かなくなることがあるんですが、疲労のしかたの種類が全然違うんです。テストマッチの最初の相手はアルゼンチンだったんですが、アルゼンチンもフィジカルが強いと言われているけれど、スペースにボールを運んでいるなという印象でした。
――日本代表欧州ツアーの最終戦はフランスでの試合でした。
 日本代表の遠征最後の試合、フィジー戦は、ナントという町の郊外のヴァンヌという小さな町で行われたんです。同じ日にはパリでフランス対ニュージーランドの試合があったし、日本とフィジーの試合にお客さんなんて来るのかな? と思ってたんですが、たくさんのお客さんが見に来てくれて、どちらのチームにもホームのような応援をしてくれました。攻めている方を応援する感じなんですが、ここが盛り上がるところだ! というところで『ウワー!』としっかり盛り上がる。ラグビーの文化が根付いているな、と感じましたね。
――フランスのラグビーにはどんな印象を持っていますか。
 スクラムが強いというイメージですね。僕たちヤマハもスクラムを大事にしているし、スクラムを組むことだけを目的にフランスへ遠征したくらいですから、フランスのラグビーは僕たちにとってリスペクトしている存在です。
 フランスのスクラムですごいなと感じるのは、後ろの選手も全員が本気で押してくることです。フロントローの3人はこっちが組み勝っているかもしれないけど、向こうは8人が塊になってグーッと押してくる。日本では経験できないものがありましたね。
 スクラム遠征で組んだ相手の中では、カストル・オランピックというチームはすごかったですね。組んでから、ボールが入ると同時に、全員が同じ方向に、同じ足を出して、一斉に押してくる。意思統一が本当にすごい。フランス人は個性的だという印象がありますが、これだけ細かいことを全員が意識して徹底したら、そりゃあ強いなと思いました。
――そのフランスに、五郎丸選手がチャレンジしています。
 素晴らしいことですよね。フランスというだけでもすごいのに、RCトゥーロンですから。試合に出ているメンバーだけでなく、リザーブからウォーターボーイまで、誰もが知っているような選手が揃っているチームですからね。そこに、ヤマハでずっと一緒にプレーしていた選手が行っている。本当に光栄です。しっかり結果を残して、今まで以上の経験を持ち帰ってくれると思います。
 ヤマハにとって五郎丸さんは、自分だけじゃなく、チーム全体にとって精神的支柱でしたね。後ろに五郎丸さんがいるというだけで、FWは安心できる。そんな存在です。今は五郎丸さんがいない分、みんなが頑張らなきゃいけない、その意識があって成長できているのが大きいと思います。
――三村選手自身は外国でプレーすることに興味はありますか?
 これまでいろんな経験をさせてもらってきた中で『自分の力はこれくらいかな、伸びしろはこれくらいかな』と、自分で決めていた部分があったけど、今回初めて日本代表に選ばれて、『やってみたら通用するところがあるんだな』『レベルの高い練習をすれば、こんなこともできるようになるんだな』『伸び幅はまだまだあるんだな』と感じているところです。まだまだ到達できてはいないけれど、可能性はあると思うし、今はそれが、自分自身楽しみです。
 ジョセフHCは、体が大きくない僕のような選手のプレーもしっかり見て、パフォーマンスを評価すればチャンスを与えてくれるということがよく分かった。ジェイミーが僕らの能力を信じて、期待してくれるから、選手もその期待に応えたいと思って頑張る。いい循環ができています。
 ただ、僕の場合は、今回初めて日本代表に入ることが出来たけれど、代表にいつでも呼んでもらえるような選手じゃないことも自覚しています。
 自分の課題を克服して行ければ、また代表に呼んでもらえるかもしれない。今はそれを目標に、1日1日を大切にして、ラグビーに取り組んでいきたいと思っています。
【三村勇飛丸(みむら・ゆうひまる)】
1989年2月27日 栃木県生まれ。27歳。ポジションはフランカー。
佐野高でラグビーを始め、明大を経てヤマハ発動機ジュビロへ。
2014年度、キャプテンとしてヤマハ発動機をチーム創設以来初の日本選手権優勝に導く。
2016年10月、ジェイミー・ジョセフ新HCのもと、日本代表に初選出。
11月のアルゼンチン戦で日本代表デビューを飾り、欧州遠征でもウェールズ戦(カーディフ)に出場した。日本代表キャップ2。
◆◆◆ WOWOW番組情報 ◆◆◆
★「ラグビー フランスリーグ TOP14」
ラグビー世界最高峰のプロリーグ「TOP14」。五郎丸歩選手が所属するRCトゥーロンの試合を中心に毎節2試合放送! 
第15節:
トゥールーズvsクレルモン・オーヴェルニュ 12/31(土)深夜0:45〜[WOWOWライブ] ※生中継
RCトゥーロンvsラシン92 1/2(月・休)午前4:30〜[WOWOWライブ] ※生中継
第16節:
スタッド・フランセvsトゥールーズ 1/8(日)深夜2:00〜[WOWOWライブ] 
 ※1/8(日)深夜0:10〜 WOWOWメンバーズオンデマンドで先行ライブ配信
クレルモン・オーヴェルニュvsRCトゥーロン 
1/9(月・祝)午前4:45〜「WOWOWプライム] ※生中継
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