国内 2016.10.29

ヤマハが9連勝で首位キープ! 神戸製鋼は痛い2敗目

ヤマハが9連勝で首位キープ! 神戸製鋼は痛い2敗目
NECの松浦康一(左)と田村優を引きずりながらゴールへ前進する神戸製鋼の山中亮平(撮影:松本かおり)
 ウインドウマンス(インターナショナルマッチ期間)前ラストとなったトップリーグは、10月29日に第9節の5試合がおこなわれ、首位のヤマハ発動機はコカ・コーラを50−11と圧倒し9連勝で折り返した。
「ヤマハにいる人間がみんな仕事をしたということ。怪我で離脱する選手はほとんどいないので、持っているものを全部、うまく使えている。マイナス面というのがほとんどない。プラス、プラス、プラスという状態で、シーズンを過ごしている。具合が悪くなった選手がいても、代わりの選手がいい仕事をして、という感じで。ずっと積み重ねてきたものがいま開花し始めているんだと思う」(清宮克幸監督)
 この日の相手だったコカ・コーラは今季まだ1勝しかできておらず下位に低迷しているチームだが、ヤマハは侮っていなかった。昨季のコカ・コーラ戦は、前半に5トライしたものの後半は3点しか取れず、ラスト6分までは7点差の苦しい試合をしていた。だから、「コカ・コーラさんのディフェンスはヤマハに相性がいいんだ、と。実際はそうでないかもしれないけど、あえて自分たちでハードルを上げて、それを越えようとこの試合の準備をしてきた」と指揮官。しっかり8トライを奪っての快勝に、「非常に嬉しく思う」と語った。
 ヤマハは前半6分、ラインアウトからモールで押し込み先制。セットピースは安定し、ボールをキープし続けた。バックスではヴィリアミ・タヒトゥア、マレ・サウのCTBペアが力強く、シャープな走りで会場をどよめかせる。プレッシャーがけも速く、ほとんどヤマハペースのゲームとなった。コカ・コーラの臼井章広監督は「ヤマハの細かいところにこだわったアタックに後手を踏んだ」と悔しさをにじませた。
 今季8敗目を喫してしまったコカ・コーラだが、ホームのレベルファイブスタジアムが沸いたシーンもあった。
 セブンズ日本代表として今夏のリオ五輪で活躍後、トップリーグ開幕直前にレッドスパークスの一員となったWTB副島亀里ララボウ ラティアナラが後半21分から出場し、念願のトップリーグデビュー。スタンドから大歓声が上がり、そのわずか1分後、副島は相手にしっかりプレッシャーをかけに行ってキックをチャージし、こぼれ球を拾った仲間のFB川口皓平からパスを受け、嬉しいデビュー戦初トライを挙げている。
 ヤマハは9勝0敗(総勝点43)、コカ・コーラは1勝8敗(総勝点8)で1か月間のブレイクに入る。
 首位のヤマハを追う3位の神戸製鋼は東京・秩父宮ラグビー場でNECと対戦し、24−38で痛い2敗目を喫した。
 序盤にWTBアンダーソン フレイザーのトライで先制し、数分後に追いつかれたあとすぐWTB山下楽平が勝ち越しの5点を入れた神戸製鋼だったが、その後反則が続いてNECのSO田村優が連続でPGを決め、逆転。
 NECはさらに前半29分、カウンターで外側を攻めてWTB後藤輝也がゴールに持ち込み、流れを引き寄せた。32分には、神戸製鋼のパスをカットしてCTBジョーダン・ペインが自陣から独走し、リードを拡大。NECは前半終了前にもスクラムからの攻撃でNO8ジョージ・リサレが逆サイドを突いてゴールに迫り、連続攻撃の末にリサレがフィニッシュし、20点差をつけて前半を折り返した。
 追う神戸製鋼は47分(後半7分)にCTB山中亮平が2人を引きずりながらゴールに持ち込み、53分には相手のノックオンからボールをつないでFBコディ・レイがトライを挙げ、24−32と8点差に詰めた。が、NECは58分にPGで加点し、67分にはスクラムで相手の反則を引き出しSO田村がショットを確実に決めて点差を広げた。
 神戸製鋼は終盤に敵陣深くで攻め続けたがラインアウトを2回失敗し、NECのしぶといディフェンスを崩せず、第2節以来の黒星となった。
 7勝2敗となった神戸製鋼はボーナスポイントも獲得できず総勝点は33のまま。NECは3勝1分5敗(総勝点15)となっている。
 5位のトヨタ自動車は岩手・いわぎんスタジアムでリコーに20−16で競り勝ち、6勝目を挙げた。
 前半にモールドライブなどで得点し、15−3で折り返したトヨタ自動車。後半は相手にPGを重ねられて一時6点差となったが、数的有利だった時間帯の75分(後半35分)、SO樺島亮太のキックパスと、それをレシーブしたWTB和田耕二の落ち着いたつなぎからCTBイェーツ スティーブンのトライが生まれ、勝利を引き寄せた。
 トヨタ自動車は6勝3敗(総勝点29)、リコーは4勝5敗(総勝点19)となった。
 6位のNTTコミュニケーションズは神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場で東芝を34−29で下し、こちらも6勝目。一方の東芝は3試合連続で接戦を落とし、今季5敗目を喫した。
 キックオフでボールを確保した東芝は、FL山本浩輝がゴールへ走り切り最高の立ち上がりとなったが、NTTコムは4分、ラインアウトからのアタックで日本代表入りしたSO小倉順平が鮮やかにラインブレイクしてトライを挙げ、流れを変えた。17分にはショートサイドを攻めてHO三浦嶺が力走し、サポートしたSH友井川拓が追加点。その後、小倉のドロップゴール成功もあって20−10で後半を迎えたNTTコムは、45分過ぎに右外を抜けたFB小川優輔がチップキックも巧みに使ってスコアラーとなり、東芝に7点を返された数分後にもスクラムからの攻撃で再びFB小川がゴールラインを割り、東芝を突き放した。東芝は終盤、ジャパン入りしたSH小川高廣の連続トライで5点差まで追い上げたが、逆転への時間は残っていなかった。
 NTTコムは6勝3敗(総勝点26)、東芝は黒星が先行して4勝5敗(総勝点21)となった。
 秩父宮ではもう1試合おこなわれ、キヤノンが宗像サニックスを35−5で下して連敗ストップ、今季3勝目を挙げている(6敗、総勝点15)。サニックスは5勝4敗(総勝点21)となった。

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