国内 2016.10.22

天へ届けと各地で熱闘 トップリーグ上位チームは譲らず

天へ届けと各地で熱闘 トップリーグ上位チームは譲らず
近鉄戦でMOMに選ばれたサニックスのJJこと、ジェイミージェリー・タウランギ(撮影:AIKO ISHII)
 日本ラグビー史にのこるビッグスターだった平尾誠二さんが亡くなって、まもない週末の土曜日。全国各地のトップリーグ会場では黙とうが捧げられ、第8節の熱戦が繰り広げられた。
 偉大なOBで、総監督、ゼネラルマネージャーとしてもチームを見守ってきた平尾さんに勝利を届けたかった神戸製鋼は、三重(三重交通G スポーツの杜 鈴鹿)でHondaを37−24で下し、7勝1敗・総勝点33として、13季ぶりの優勝へ向けて着実に前進した。
 神戸製鋼は前半10分過ぎ、ラインアウト後のモールからLO張碩煥(チャン・ソクファン)がゴールへ運んで先制。14分にはLO張のラインアウトスチールから攻めたて、キャプテンのFL橋本大輝がゴール左隅に飛び込んだ。PGで加点したあとの30分には、ハイボールの競り合い後、インゴールに止まっていたボールを神戸製鋼のSHアンドリュー・エリスが押さえて20−0とリードを広げた。
 その後、Hondaに10点を返された神戸製鋼だが、後半早々、SOイーリ ニコラスからのキックパスを受けたWTB山下楽平がゴールに持ち込み、流れを引き戻す。54分(後半14分)にはモールドライブでリードを拡大。61分にWTBレメキ ロマノ ラヴァが個人技でHondaに点をもたらしたが、神戸製鋼は4分後、SHエリスからのキックパスを身長193センチのWTBアンダーソンフレイザーが空中で確保してすぐ仲間のFBコディ・レイに内返しし、トライが生まれて勝負を決めた。
 神戸製鋼が大事な一戦で勝利を収めた一方、Hondaは暗く長いトンネルを抜け出せず、未だ勝星なしの8連敗となった。
 東大阪市花園ラグビー場では、開幕から無傷のヤマハ発動機とサントリーがそれぞれ試合をおこない、ともに連勝を8に伸ばしている。
 第1試合で登場したサントリーは豊田自動織機に52−15で大勝。
 前半4分、9分、20分と、ラインアウトからテンポの速い攻撃でトライを重ね、序盤にリードを広げた。その後、かつてオーストラリア代表の中心選手だった豊田自動織機のFBマーク・ジェラードがチップキックを巧みに使ってゴールに持ち込み、35分にはサントリーのパスが乱れて織機がこのチャンスをものにし、一時4点差に詰まったが、後半はサントリーの得点ラッシュ。4年目のWTB中?隆彰はこの日ひとりで4トライを挙げ今季通算11トライとし、トライ獲得ランキングのトップに浮上している。
 ボーナスポイントも得たサントリーは、8勝0敗で総勝点37となった。前節に東芝から今季初勝利をあげた豊田自動織機だが、連勝ならず1勝7敗(総勝点6)となっている。
 首位のヤマハ発動機は5位のNTTコミュニケーションズと対戦し、21−17で制した。
 前半28分にLOデューク・クリシュナンがタッチライン際を抜けて先制したヤマハ。34分にはゴール前でできたギャップをNO8堀江恭佑が突いて連続トライとなった。
 しかし、NTTコムはリスタートのキックオフボールを確保すると一気にゴールへ迫り、右への展開からNO8アマナキ・レレイ・マフィが抜けて反撃を開始する。後半早々には、ザ・ラグビーチャンピオンシップを終えてこの試合からNTTコムの戦列に戻ってきたSOエルトン・ヤンチースがPGを決め、14−10と点差は縮まった。
 だが、ヤマハは62分(後半22分)、敵陣22メートルライン内のスクラムから攻め、SH矢富勇毅の落ち着いた配球からLO大戸裕矢が突破して貴重なトライを獲得。
 11点差とされたNTTコムは、80分を過ぎてからのラストアタックでNO8マフィがスコアラーとなったが、逆転劇への時間は残っていなかった。
 ヤマハは勝点4を手にしたものの、7試合ぶりにノーボーナスゲームとなり、総勝点は38で2位サントリーとの勝点差は1ポイントに縮まっている。NTTコムは5勝3敗(総勝点22)。
 4連覇へ望みをつなぎたい4位のパナソニックは、東京・町田市立陸上競技場でキヤノンと対戦し、29−16で逆転勝ちした。
 前半は、『Beat Panasonic(打倒・パナソニック)』の目標を掲げて今シーズンに臨んだキヤノンがリード。互いにPGで3点ずつ取ったあと、24分、キヤノンはSOジャンクロード・ルースのカウンターをサポートしたFBウィリー・ルルーのゲインで敵陣22メートルライン内に入り、左へ回して、瞬発力があるWTB原田季郎がタッチライン沿いを振り切ってトライを挙げた。パナソニックはその5分後、身長195センチ、体重125キロのWTBタンゲレ・ナイヤラボロが左サイドでタックラーを跳ね飛ばしてスコアラーとなったが、8−10とキヤノンがリードしてハーフタイムとなった。
 後半もキヤノンがPGで先に得点し、5点差とされたパナソニックだが、51分(後半11分)、敵陣10メートルラインのサイドでボールをもらったナイヤラボロをキヤノンは止められず、同点。SO山沢拓也のコンバージョン成功でパナソニックが逆転した。オーストラリア代表復帰も目指すパワフルWTBのナイヤラボロは、さらに55分過ぎ、自陣でインターセプトして約70メートルを独走し、ハットトリックでチームのリードを広げた。
 キヤノンは79分にWTB原田がPGを決め、6点差としたが、パナソニックはホーンが鳴ったあと、HO堀江翔太キャプテンのボール奪取からつないで途中出場のFW長谷川崚太がとどめを刺し、トライ数を3本差つけてボーナスポイントも獲得している。
 パナソニックは6勝2敗(総勝点29)、キヤノンは2勝6敗(総勝点10)となった。
 和歌山・紀三井寺公園陸上競技場でおこなわれた試合は、宗像サニックスが前半の3トライなどで奪ったリードを守り切り、近鉄に20−15で競り勝っている。
 サニックスは連敗ストップで5勝3敗(総勝点21)、近鉄は3連敗で2勝6敗(総勝点12)となった。

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