国内 2016.10.05

「気持ちはわかる。言ったらアカン」。流経大・廣瀬主将の「猛烈」ぶりとは。

「気持ちはわかる。言ったらアカン」。流経大・廣瀬主将の「猛烈」ぶりとは。
今季開幕戦となった日大戦前の流経大・廣瀬直幸キャプテン(撮影:松本かおり)
 誰が呼んだか、愛称は「猛烈」。今季の流経大ラグビー部の船頭役は、言葉と身体に熱を込める。同級生で司令塔のSO東郷太朗丸からも、こう信頼される。
「ちゃんと言えるし、身体も張れる」
 廣瀬直幸。身長172センチ、体重90キロのFLだ。小柄でも、胸板と下半身に厚みを帯びる。大阪の東生野中から千葉の流経大柏高へ渡り、系列大学の主将となった。遮二無二タックルする。「ちゃんと言える」の東郷評通り、声を枯らす。
「人にぐちゃぐちゃ言う分、自分にプレッシャーをかけてやっています。どれだけ身体を張ってやれるか。それを一貫して考えています」
 10月2日、栃木・足利陸上競技場。所属する関東大学リーグ戦1部の開幕3連勝を決める。法大を57−26で制すなか、背番号7の廣瀬は攻守で躍った。
 まずは前半12分、ランナーが敵陣ゴール前で縦、縦と突くなか、最後にパスコースへ飛び出した。チーム2本目となるトライを決め、ゴール成功もあってスコアを12−0とした。
 大勢を決めて迎えた試合終盤は、守りで魅せる。守備網の切れ目をカバーし、タックルを連発する。
 打ちどころが悪く、芝にうずくまってしまうこともあった。それでも自分の前にランナーが来そうになったら、突如、立ち上がり、タックルを試みる。
「執念です。自分たちのディフェンスはプレッシャーをかけ続けるもの。それを意識しながら、ずっと周りとコミュニケーションを取っていました」
 本来は「ディフェンスフォーカス」をテーマに掲げていただけに、26失点には反省。「選手交代で(連携に)ぼろが出た。改善したいです。内側のアップ(接点周辺での飛び出し)が弱かったり、相手にうまくつながれたり…」と、自分にも周りにも厳しい。相手の勢いに呑まれかけた後半途中には、レフリーの判定に苦言を呈する仲間の顔が見えた。
 ノーサイド。円陣。言うことは決まっていた。
「気持ちはわかる。でも、言ったらあかん」
 その時の心境は…。
「もともと自分もそういうこと言っちゃうプレーヤーだったのですが、リーダーになったので…。それ(レフリーとのコミュニケーションミス)で負けても仕方がない。切り替えてやるしかないです」
 留学生を揃えるクラブで主将を任され、「外国人もいるチームをまとめるのは難しい」と実感した。3年生LOのナエアタ・ルイとチームを強くするための「口論」をしたというエピソードを、やや充実した口ぶりで明かしていた。
「ナエアタは流ちょうな日本語で喋る。そのため言い合いになるんですが、そこは負けずに。そしてラグビーでは、自分の仕事はこうなのだと(身体を張ることで)見せる。しっかりコミュニケーションしながらやっていきたいです!」
 リーグ戦での2季ぶりの優勝、さらには7連覇中の帝京大を下しての大学選手権制覇を目指す。「猛烈」に仲間を鼓舞し、クラブのスタンダードを上げたい。
(文:向 風見也)

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