国内 2016.09.05

いたるところにアイザック。「これが私のスタイル」。

いたるところにアイザック。「これが私のスタイル」。
ボール争奪戦でも目立つアイザック・ロス。地道な仕事でも信頼される(撮影:松本かおり)
 開幕戦で神戸製鋼に逆転負けしたNTTコムが、本来の展開力でリコーに逆転勝ちして、初勝利と勝ち点5を手にした。
 前半はリコーペース。スクラムの反則からリコーに2PGを許し0−6。相手CTBアマナキ・ロトアヘアがシンビン中も得点は奪えず、重苦しい雰囲気が流れる。それを振り払ったのが前半34分の攻撃だった。SO小倉順平が抜け出すと、フォローしたLOアイザック・ロスにノールックパスを出し、さらにCTBブラッキン・カラウリアヘンリーへとつながり初トライ。前半を7−6とリードして折り返した。
「あれはうちの持ち味が出たトライ。タイトファイブでもパスがうまいのがNTTコム。順平のノールックパスも普段から練習している成果です」と話すのはトライを挙げたカラウリアヘンリー。
 後半はNTTコムのアタックばかりが目立ち、一方的にペースを握る。開始直後に蹴ったキックオフのボールを奪うと、一気に外へ振り、FL栗原大介がノーホイッスルトライ。さらに17分、連続攻撃からSO小倉がミスマッチ抜き、素早くボールをつないでCTBカラウリアヘンリーが2本目のトライ。27分にはゴール前のラックからパスを受けたLOアイザック・ロスから、後方から走り込んだSO小倉へタイミング良くパスがつながると、小倉はパスダミーからトライ。28−6と勝負を決めた。
「順平のコールがあったから、パスを出せた。シンプルですが、NTTのラグビーをするにはコミュニケーションが不可欠」と話すアイザックは、キックオフ、ラインアウトなどで存在感を示し、さらにパスを出す起点にもなる。試合後はマン・オブ・ザ・マッチにも選ばれた。
「これが私のスタイルです。それはニュージーランドでプレーしていた時からそうでした。もちろんLOとして求められる仕事はあります。でも、ボールをつないで走る部分が楽しいし、そこが私の個性だと思っている。だから、日本で長くプレーしたい」
 来日6年目、201センチの元オールブラック(キャップ8)ではあるが、今年は帰化申請もしたという。今季は日本人としてプレーすることは叶わなかったが、それが認められれば、パナソニックのヒーナン ダニエルのように、日本代表も目指してみたいという。
「日本でのワールドカップ。可能性はまったくゼロじゃない。私のスタイルは日本のラグビーに合っている」
 2メートルを超える選手としての存在感はキックオフ、ラインアウトで一目瞭然ではあるが、そのサイズを感じさせないパススキルとランニングコース。NTTコムのアタックを多彩にしてくれるわけだ。

PICK UP