国内 2016.08.28

実はアルスター入り目前だった? 東芝・浅原、「サンウルブズ後」のTLへ。

実はアルスター入り目前だった? 東芝・浅原、「サンウルブズ後」のTLへ。
クボタとの激闘を制し、知念雄と抱き合う浅原拓真(撮影:松本かおり)
 小さくても、世界で戦える。実は、北半球のチームからも誘われていた。確かな自信を胸に、自身7シーズン目となる国内最高峰トップリーグへ挑む。
 浅原拓真。昨季準優勝の東芝で背番号「3」をつける。8月27日、東京・秩父宮ラグビー場でクボタとぶつかり、22−19と辛勝した。戦前にはこう話していた。
「自分たちのホームの東芝で戦えるのは、嬉しいこと。ノンメンバー(控え組)の分も、しっかり戦いたいです」
 日本代表5キャップ(国際間の真剣勝負への出場数)を誇るが、国内の関係者にはそれ以上のインパクトも残していよう。身長179センチ、体重113キロの28歳。取り立てて大型化の傾向にある右PRの位置にあっては小柄とされるが、昨季は初のリーグ戦ベストフィフティーンに選ばれた。
 さらにシーズン終了後は、国際リーグのスーパーラグビーに参戦。日本から初参戦のサンウルブズへ追加招集され、南アフリカなどの強豪クラブと14試合、戦ったのだ。
 スーパーラグビーのシーズン終了後は約1週間、休んだ後に個別調整。東芝の主力組には、開幕から2週間ほど前に合流した。過密日程下、「なかなか、タフです」と笑う。苦労した長期遠征、大男とのつばぜり合いで、貴重な財産を手にしたという。
「試合会場の標高、移動距離と、日本で試合をするのと違う状況で、いかに自分をベストの状態に持っていって戦うか。相手も強いなか、僕ら小さい人間がどう戦うか。…そういったことを学べました」
 4月の南アフリカでの遠征中は、メンバーが相次ぎ腹を壊した。自身もその例に漏れなかったという浅原は、「あ、懐かしいっすね!」と過去の話として思い返した。来季以降も続くサンウルブズの南アフリカ遠征に向け、こんな教訓を得た。
「さすがに水は気をつけていたんですけど、生野菜もダメ! となりました」
 実は、アイルランドのアルスターからもオファーを受けていた。スコットランド、ウェールズ、イタリアを含めた4か国からなるプロ12に参戦するクラブから、PRの故障者の穴埋めとして誘われていたようだ。かつて東芝でFWコーチを務めていたジョセフ・バラカット アシスタントコーチから水面下で打診され、浅原は前向きに話を聞いた。
「ちょっと、ドキドキしました」
 請われたタイミングに自身の結婚式がスケジューリングされていたためその話は流れたが、「もしかしたら、行っていたかもしれないです。ヨーロッパに、1人で」。来年も世界と戦いたいから、まず、今季のトップリーグで十分な働きを示す。
(文:向 風見也)

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