国内
2016.08.25
サンウルブズ&日本代表&パナソニックで指導。田邉コーチ「ビジネスに近い」
昨季トップリーグLIXIL CUP決勝を制したときのパナソニック・田邉淳コーチ
(撮影:松本かおり)
日本人初のスーパーラグビーコーチは、群馬県太田市のホームでも精力的に動いた。選手に問いかけながらプレーの要点を確認し、練習をテンポよく進める。高校時代からニュージラードへ留学していただけに、外国人への英語での指示は通訳を介さず自らおこなう。
8月26日に開幕する国内最高峰のトップリーグにあって、3連覇中のパナソニックでは田邉淳コーチが元気だった。今季の国際リーグのスーパーラグビーでは、日本から参戦したサンウルブズでアシスタントコーチを務めていた。
かねてからの目標だったスーパーラグビーでの指導を実現。いま、ミッションを叶えて初の国内シーズンを見据える。
サンウルブズでは、クボタの立川理道やNECの田村優など、パナソニック以外の日本代表格とバディを組んだ。戦績は1勝1分13敗と苦しむも、その過程では多彩なチャプターがあった。
初来日選手との絆の醸成、選手が体調を壊す長期遠征、屋形船でのチームディナー開催…。1つひとつを思い出してか、田邉コーチはこう振り返った。
「ラグビーの戦術戦略はもちろんですが、グラウンド外で何をすればチームの結束を高められるか(も学べた)。また、自分のプレゼン能力も成長しました。どんなメッセージを選手に送りたいか、そのメッセージをどう絞り込むか…。そういう部分は、ビジネスに近いところもあるかと思いました」
6月には日本代表のコーチングスタックに加わるなど、希少な経験を積めた。来季の正式な続投要請は「来ていない。(パナソニックの)社員なので、正式なオファーというのはないのかもしれませんが」。そうはいっても、国際的指導者の道をまだまだ歩みたい。
北関東のクラブハウスで、改めて決意表明した。
「これからスーパーラグビーでプレーしたい選手はたくさん、増えてくると思う。このチームからそんな選手を1人でも多く…。そのためにレベルアップを図っていくのが僕の役割です。さらに、上に行きたいな、と」
とにかくいまはパナソニックで、新人の藤田慶和や山沢拓也などの有望株に刺激を与えるのみだ。
(文:向 風見也)