サンウルブズ×ワラターズ前日練習にエディーさん。日本ラグビーのいま、を斬る。
談笑するエディー・ジョーンズ氏。(撮影/松本かおり)
立川理道と田村優の成長をこう話した。
「ハルはスーパーラグビーで成長しました。インターナショナルレベルです。田村もここ数試合安定していますね。チームのスタイルを楽しんでいるし、10番のポジションでエンジョイできているように見えます」
ジャパン×スコットランドを見て目に止まったのはSH茂野海人とFL金正奎。ふたりについては、「(茂野は)とてもいい動きをしていた。ゲームの流れを掴むところでもう少しやるべきことはありますが、コーチと改善していけばいい。金は体を大きくすることも必要だし、筋肉をもっとつけた方がいいが、いいプレーをしていました」と評価した。
イングランド代表を率いてのオーストラリアツアーを3連勝で終えた。そんな大仕事を終えて来日中のエディー・ジョーンズ氏が7月1日、秩父宮ラグビー場を訪れた。2日に同スタジアムでワラターズと戦うサンウルブズのマーク・ハメット ヘッドコーチと話し、報道陣の取材にも対応した。
サンウルブズ×ワラターズの展望を問われたジョーンズ氏は、「ワラターズはパワープレーを押し出してくるはず。サンウルブズはFWで対抗できないとキツい。ただハイテンポのアタックを継続できれば相手を苦しめられる。とにかくワラターズにとって居心地のいい試合をやってはいけません。ハイテンポの試合を展開し、ボールをキープ。ラインアウトを安定させてクイックタップで攻める。いらいらさせることが大事」と答えた。
「ワラターズでは、大きく、強く、激しいプレーをする(LOウィル)スケルトンやインターナショナルレベルで成長を遂げ、ランニングもパスも素晴らしい(SOバーナード)フォーリーに気をつけた方がいいでしょう」
練習前にはサンウルブズのマーク・ハメット ヘッドコーチと立ち話をしていた。その内容については、「時間のない中で準備をし、よく戦っている。今季の彼の仕事ぶりを称えました。日本ラグビー協会はハマーに感謝しないといけませんね」と言った。
スコットランドとのテストマッチに連敗したジャパンについて「2戦目は勝つべき試合でしたね。スコッドの(中核の)半分の選手を欠いての戦いでした。若い選手たちがテストラグビーを理解するのには時間がかかるもの。(これから)新しいコーチ陣とともに、もう一度チームを作っていかないと」と話した同氏は、代行ヘッドコーチ体制で戦ったことについて「ワールドカップに向けての準備が遅れたことは事実でしょう」と言って話を続けた。
「時間は大切です。2015年のスコッドの25%ほどしか2019年には残らないと思われます。そういったことを考えながらチームを作っていく意識を持たないといけません。(2019年の)ワールドカップのときには(先発メンバーの総キャップ数が)550キャップほどの経験を持つチームにならないと」
そのためにもスーパーラグビーを活用していくことが望まれる。U20日本代表が各試合とも後半に息切れして連敗、下部大会に降格したことに触れて言った。
「スーパーラグビーへの参戦は日本代表を強くすることを目標にしているのですから、代表ヘッドコーチをセレクションに加え、若い選手たちをスコッドに入れる。そして、その選手たちのS&C(ストレングスとフィットネス)を高めていくことが必要でしょう」
国内ラグビーのカレンダー再考についても言及した。
「スーパーラグビーは強化を加速させるものですが、シーズンの構成をもっと考えないといけないときでしょう。トップリーグとスーパーラグビーの両方を続けてプレーするのはキツい。プレーヤーにとって最善の環境がどうなのかを考えるべきです」
イングランド代表を勢いづけてますます評価を高めている知将は、的を射た提言を短い時間に詰め込んだ。
【注目!】
7月2日にサンウルブズ×ワラターズを生中継するJ SPORTS(13:45〜/J SPORTS 3)では、試合前に「エディー・ジョーンズ氏がサンウルブズを語る」映像も放映する。必見です。