各国代表 2016.05.21

【アジア選手権現地リポート】 ジャパンFW、韓国で“リベンジ”

【アジア選手権現地リポート】 ジャパンFW、韓国で“リベンジ”
前半のスクラムトライに続いて後半はモールからもトライを挙げ、
韓国に対する“リベンジ”を果たしたジャパンFW(撮影:出村謙知)
 85−0で大勝した相手との再戦。
 ところが、FW陣にとっては一種の“リベンジ”の思いを抱えて臨んだ一戦でもあった。
「初戦で戦った韓国には85−0で勝ったけど、FWでは(トライを)取れていない。逆に、香港に対しては38−3だったけどFWで取れた。自分たちの成長を見せてしっかり韓国にリベンジしようと。85−0で勝った相手にアウェー戦でリベンジする目標を立てて、いい精神状態で臨めた」(遠藤哲FWコーチ)
 香港戦快勝の原動力となったスクラム、そしてラインアウトからのモールで圧倒して、トライを取り切ること。それが、前8人が目指す韓国に対するリベンジだった。
「1本目からジャパンが押していきたい」
 そう意気込みを語っていたのは、日本代表として初先発ながらFWリーダーに指名されたHO坂手淳史。
 そのチャンスは意外なほど早くやってきた。
 日本のキックオフで始まった試合。いきなりFB山中亮平のキックが直接タッチラインを大きく割って中央スクラムへ。
 前述のとおり、若き日本のFW陣には圧勝した韓国とのホームゲーム以上に香港でのアウェー戦が大きな手応えを感じる一戦となったが、同じように韓国も1週間前の香港戦では27−34で敗れたとはいえ、ことにスクラムでは圧倒。間違いなくチーム状態を上げて、ホームに日本を迎えていた。
 注目のファーストスクラム。崩れ落ちた16人が見上げたマット・ロッデンレフリーの右手は迷うことなく高く上げられ、韓国にペナルティキックが与えられた。
 SOオ・ジミョンのロングPGが決まって韓国が先制。
「(最初のスクラムでペナルティを取られて)混乱した。内容的には自分たちが勝っていたので。2本目も取られたけど。その後はこっちのペースで組めた」(PR渡邉隆之)
 いきなり不可解な判定にも動じないで、「焦らず、このままプレッシャーかけていこう」(坂手)と確認しあって、スクラムに関しては3本目以降は完全に支配。
 前半23分には敵陣深くで一気に押し込み、スクラムによるペナルティトライを奪って、韓国FWを粉砕。
 後半9分にはラインアウトからモールでのトライも記録して、「(初戦は)スクラムでもモールでも取れなかった」(中竹竜二ヘッドコーチ代行)ホームでの悔しさを見事にアウェーで晴らしてみせた。
 一方、この日が代表デビュー戦だったFL古川聖人が「自分の強みとしている低いタックルを最初から出し切ろうとプレーした」と代弁してくれたとおり、3試合連続で相手をノートライに抑えたディフェンス面でのハードワークでも当然ながら頑張りは目立った。
 中竹HC代行はこの日の大きなテーマに「ストロング・コネクション」を掲げて、つながりを意識したゲームプランで臨んでいたが、ディフェンス面でその成果が発揮されたのが、試合終了間際に韓国に自陣深くまで攻められた場面。韓国に30フェイズを超える連続攻撃をされながらも、ことごとく「ダブルタックル」を意識したディフェンスを続けて、トライラインを死守。
「何度も危ない場面があった。あそこでひとりでも意識を抜いていたらいかれていた」(同HC代行)
 最終スコアは60−3。
 FWとBKが連携しながら守り通し、完全なるリベンジは成就した。
(文:出村謙知)

PICK UP