海外 2016.05.06

植林の仕事からプロへ。サンウルブズWTBジョン・スチュワート、初登場。

植林の仕事からプロへ。サンウルブズWTBジョン・スチュワート、初登場。
シャイなスピードスター、ジョン・スチュワート。フォース戦で
11番を背負う。(撮影/松本かおり)

 9戦目にして、やっとピッチに立つ。5月7日に秩父宮ラグビー場でおこなわれるスーパーラグビー、サンウルブズ×フォース。ホームチームの11番を背負うのがジョン・スチュワートだ。フィジー第2の都市、ラウトカで生まれた。スピードに自信を持つ男は、連勝を目指すチームに貢献したいと腕をぶしている。

 フィジーの年代別代表(U17、U18)に選ばれてきたのだから才能は秘めている。同国代表ウォリアーズ(A代表)の一員として国際大会『パシフィック・チャレンジ』に出たこともあるし、セブンズ代表の経歴もある。しかし、プロフェッショナルとしての契約は今回のサンウルブズと結んだものが初めてだ。
「ニュージーランドのポバティーベイ代表としてプレーしたときも(2010年/同年のハートランド・チャンピオンシップ=NZ州代表選手権2部でトライ王)、セミプロとしての契約でした。当時、他の仕事も持ちながらプレーしていました。山で植林をする仕事に就いていたんです」
 だから、サンウルブズで活躍する姿を見せてビッグクラブとの契約を手にしたい。日本のトップリーグにも興味がある。巡ってきたチャンスを絶対にものにしたい。

 マーク・ハメット ヘッドコーチは、自身のピックアップした選手でないことを前提に、「私が来日して彼を初めて見たときに感じたのは、まだ青いな、ということでした。未熟で、身につけなければいけないことがたくさんあった」と第一印象を話した。
「でもジョンは、そこから成長しました。2か月強の間に体重も5〜6kg増えたし、スキルも上がった」
 指揮官は、努力を重ねた姿を見て今回の起用を決めた。本人も言う。
「今回プレーする機会を与えられてシアワセだし、興奮しています。チーム、そして神に感謝したいですね。もともとボールに絡んでいくプレーは得意です。デイフェンスはまだまだですが、サンウルブズに加わってから体作りにも励み、フィジカル的にも強くなりました」
 優れた仲間とともに時間を過ごすことが、自分を高めてくれたことに感謝している。初めて立つピッチを恩返しの場にしたい。

 2003年のワールドカップでヒーローとなった、フィジー代表の快足WTB、ルペニ・ザウザウニンブザに憧れていた。現在はフィジー代表、クルセーダーズのWTBとして活躍するネマニ・ナンドロのようにチームの勝利に貢献するフィニッシャーを目指す。
 朱色に染まる秩父宮を、サクセスストーリーの出発点にできるだろうか。

 

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