海外
2016.02.26
決戦前日会見。サンウルブズ堀江「こちらから仕掛ける」。ライオンズ側は警戒
左からサンウルブズのフィロ・ティアティア アシスタントコーチ、堀江翔太主将、
ライオンズのワーレン・ホワイトリー主将、ヨハン・アッカルマン監督(撮影:松本かおり)
アフリカ大陸の南の端からやって来たキャプテンは言った。
「2組にわかれて日本に来ましたが、私はシンガポール経由で21時間かかりました。でも、それを言い訳にする気はありません。長旅は初めてではないし、そういうものもラグビーの一部と考えています。そういう中で結果を残すのが我々の仕事」
ワーレン・ホワイトリー主将だ。スーパーラグビーに今年から参戦するサンウルブズの歴史的初戦の相手チームを牽引するスキッパーは、南アフリカ代表キャップ3を持つタックラーだ。
2月27日、秩父宮ラグビー場で13時15分にキックオフ。日本ラグビーが新しい領域に踏み出す。世界が注目する中で戦う両チームは、2月26日に戦いの舞台で前日練習をおこない、共同記者会見に臨んだ。
サンウルブズを率いる堀江翔太主将は、胸の高鳴りをこう話した。
「歴史的な試合を迎えるので(前日練習を)やりすぎるぐらいやりました。最後の最後まで(細部を)チェックしたのは、明日、いい試合をしたい思いの表われ。僕らは小さい。ライオンズに対して80分挑戦したい。激しく、こちらから仕掛けていきます」
堀江主将はライオンズの印象を「コンタクトが強いしアグレッシブ」と語り、対応策についても話した。
「1対1ではキツイ。だからどれだけチームで止められるかが大事。いい判断をして止めたい。そのためにコミュニケーションをとっていかないと」
ライオンズ側に、新参者を軽視する空気はなかった。
「新しいチームのことは(周囲は)何も分らない。怖い存在です。そして成長していく一方」
ヨハン・アッカルマン監督はそう言った。
「私たちも2013年シーズンは(前年の成績不振により)降格で参戦できませんでした。(2014年シーズンからあらためて)そこから這い上がってきた。ハングリー精神を持って戦いました。いまのサンウルブズも似たような感じだと思います。ハングリー精神は成功の大切な要因。それは、(ジャパンが南アフリカを倒した)ワールドカップを見てもわかるでしょう」
今季の目標を問われると、堀江主将は「とりあえず1勝」と言った。
「(いまは)目の前のライオンズ戦しか見ていません。毎試合、同じようにやっていきたい」
主将の態度には、興奮と責任のバランスがとれている胸中が浮かんでいた。静かな口調が覚悟の強さを物語っていた。
チケットは売り切れた。記念すべき一戦は満員の熱気の中でおこなわれる。歴史的一戦に大きなインパクトを残したい。