国内
2016.02.13
サンウルブズ初実戦は反省点つきの大勝。トップリーグ選抜のアピールは…。
強気のランが光ったサンウルブズのFB山下一(撮影:?塩隆)
<トップリーグオールスター FOR ALL チャリティーマッチ2016>
サンウルブズ 52-24 トップリーグXV
(2016年2月13日/愛知・豊田スタジアム)
世界最高峰のスーパーラグビーへ日本から初参戦するサンウルブズが、開幕前唯一の実戦で大勝した。
「信頼に貯金があるとしたら、いまはゼロだ。きょうから積み重ねる」
会場へ向かう前のホテルでこう発したらしいマーク・ハメット ヘッドコーチ(HC)は、こう振り返った。
「スーパーラグビーはフィジカルなゲームが多くなる。トップリーグ選抜がフィジカルなゲームをしてくれてありがたく思っています」
トップリーグ選抜は、「ビートウルブズ」を合言葉としていた。
特に身長177センチの狩人であるFL金正奎、トップリーグの新人賞を獲得したLO小瀧尚弘らは、サンウルブズ入りへのアピールを狙っていた。実際、守備時の肉弾戦で魅せた。
自陣で張り付けにされた前半23分、密集近辺をじわじわと攻めるサンウルブズを向こうに接点に頭をねじ込む。サンウルブズが何とか止めを刺そうと、左タッチライン際のWTB笹倉康誉に球を託す。が、密集に先発のFL金が手を伸ばす。球を手離せないノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘った。
さらにLO小瀧は前半34分にグラウンドに現れるや、得意のチョークタックルで何度も相手ランナーをつかみ上げた。少人数でテンポよく球をつなぎたいサンウルブズの目論見を鈍らせたからか。ロスタイムを経て約6分後に迎えたハーフタイム、ハメットHCはこう言ったようだ。
「つかまれないよう、サポートを速く」
サンウルブズのLO大野均の述懐。
「入ってすぐに抱え上げて…。小瀧の名前こそ出なかったですけど、『あれを、どうにかしろ』と。数分でそんなインパクト。そのうち(サンウルブズへ)呼ばれるのかな、と」
勝負は、サンウルブズが制した。
レギュラー格が並んだ前半はSOトゥシ・ピシのランとキックパスなどで26点を奪取。後半も2日前に合流したWTB山田章仁が、攻守逆転からの大きな突破に反応して2トライを決めた。個々の才気が光る一方で、チームが準備した攻撃プランに手応えをつかんだ様子だ。
昨季まで活動していた日本代表と同様にシェイプと呼ばれる複層的陣形を用いる。ただ、15人全員が球の出先を追うのではなく、グラウンドの左右どちらへ球を振っても誰かがいるよう人員を配置させる…。
「少し効率のいいようなアタック。そんななかでも1人ひとりの判断が重要です」
CTB立川理道がこう説明すれば、HO堀江翔太主将はこんな展望を明かしていた。
「戦術略は上手くいったかな、と。あとはもっと選手がわかりやすくなるよう、話をしていきたい」
本番では南アフリカカンファレンス1に入る。過去優勝3回のブルズなどと同組だ。比較的小柄な新参者としては、この日の主力交代後に覗かせた連携不足からのミスは命取りとなろう。SH日和佐篤も「リンクのところでのミス。これがあると、(大きな相手に)差し込まれてしまう」と警戒する。
歯ごたえのある面子とやり合って収穫と課題を得た極東のヤングクラブは、2月27日の初戦に向け急ピッチで準備を進める。
(文:向風見也)
サンウルブズのWTB笹倉康誉を止めるトップリーグXV(撮影:?塩隆)
MVPに選ばれ、大村秀章・愛知県知事からトロフィーを贈られたサンウルブズのSOトゥシ・ピシ
(撮影:?塩隆)