愛知工業大、部史上初のタイトルを手に。全国地区対抗大学大会制す。
創部31年目の感激。(撮影/松本かおり)
はじめての勲章だった。1月6日にパロマ瑞穗ラグビー場でおこなわれた第66回全国地区対抗大学大会の決勝戦で愛知工業大学が鹿児島大学を45-21で破った。同大会での初優勝は、愛工大が創部31年目で手にした初の王座だった。
ファイナリストはともに1回戦、準決勝を完勝し、決戦に挑んだ。愛工大は全国大学選手権出場を目指していたが、目標を切り替えてこの大会に挑んだ。鹿大は4年生は部での活動を引退し、3年生以下の新チーム。ラストイヤーのラストゲームに懸ける思いの強さが勝因のひとつになったのは確かだろう。
愛工大は立ち上がりの時間帯を制してペースを掴んだ。
開始2分、相手反則から得たPKで敵陣深く攻め入り、ラインアウトからのモールで先制トライ。4分にはターンオーバーから攻撃を重ね、最後はアウトサイドを攻略した(WTB永田雄也)。13分にはキックカウンターから大きくボールを動かして走り切る(CTB河野太希)。ラインアウトからのアタックで奪った23分のトライも合わせ、序盤で24-0と大きくリード。残りの時間に鹿大に3トライを返されはしたが、追う者に少し光が差し込むと追加点を奪う戦いでリードを守り切った。
過去に全国地区対抗大会で2度の準優勝はあるものの、監督就任30年で初のタイトルを手にした岡本昌也監督は、「最初に(トライを)取れたのが大きかった。それまで立ち上がりに課題があったが、ディフェンスも頑張ったし、4年生を中心に(この大会に目標を)切り替えて力を合わせてきた結果。多くの人の支えが実っての優勝は嬉しいですね」と感激の表情を見せた。SH青柳大地主将も「自分のたちのラグビーをやり切れた」と話し、仲間と感激の時間に浸った。
敗れた鹿大も、新チームに切り替えて2か月弱ながら自分たちのスタイルを示した。前に出て倒す。ハイテンポで攻める。点差ほどの実力差を感じさせぬパフォーマンスで、最後の15分以上の時間帯を制した。SO中尾隼太主将も「やれることはやったから、いい経験になる」と言った。
いつもの年より早くスタートを切り、ゲームを通しての経験値も高められた。主将は「九州(での優勝)を獲るためにも逆算して組織を作っていきたい。鹿大にとって歴史を変える1年にしたい」と下を向くことはなかった。