国内 2015.11.23

首都大東京、関東大学リーグ戦5部優勝。17年ぶりの4部へ王手。

首都大東京、関東大学リーグ戦5部優勝。17年ぶりの4部へ王手。
優勝に笑顔も、さらに上を目指す首都大東京。(撮影/見明亨徳)

 国内ラグビーの2015年シーズンが終盤を迎えている。各リーグではそれぞれのカテゴリーでの優勝争いのほか、上位リーグ昇格をかける入替戦への出場を巡った争いも展開されている。
 11月22日は関東大学リーグ戦5部の最終日。これまで6戦全勝で4部との入替戦を確実にしていた首都大東京(旧東京都立大)が優勝をかけて千葉工業大と対戦。後半、勢いにのった首都大が57-14(前半:19-0)で快勝した。12月13日に4部、8位の城西大と入替戦を戦う。勝てば1999年の都立大時代以来17年ぶりの4部復帰となる。

 試合は前半から首都大ペースで進む。5分、敵陣でのラックからFL平野涼(3年)がインゴールへ持ち込み先制。コンバージョンはLO佐藤聖(院生)が決め7-0とした。5分後、首都大は左ライン際から右へ展開、NO8田村康平(2年)からボールを受けた主将・左WTB稲葉幸俊(4年)が右隅へ飛び込んだ。
 その後はお互いノックオンやパスミスなどありジリジリする展開に。32分には、首都大が自陣から蹴ったボールを千葉工大が処理を誤った。ラックを首都大が制してボールを奪い、FL平野が2本目のトライを決める。19-0で前半を終えた。

 後半は立ち上がりの時間帯に千葉工大が攻めた。過去2季はいずれも千葉工大が勝っている自信があったか、首都大陣へ攻め込む。しかし千葉工大陣内へ移ったボール、キックを首都大SH中村玲二(1年)がチャージ、自らインゴールで押さえた。さらに首都大は自陣22メートル付近でWTB遠藤暁人(1年)がインターセプトから走った。トライラインを越え、31-0とほぼ試合を決めた。
 首都大はそこからのびのび攻めた。得点源が機能した。リスタートのボールをつなぐとN08田村がトライ。16分と25分には1年生FB柳田亮もインゴールへ走った。終盤、千葉工大が意地を見せて2トライを奪うも、57-14の快勝だった(7戦全勝)。入替戦で、1999年度に1年間在籍した4部へ、17年ぶりに昇格を目指す。

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全員で攻めた首都大。(撮影/見明亨徳)

 昨季、首都大は5部で3勝4敗の4位だった。1999年以来、5部に降格後は部員数低迷で試合を棄権するなど、5部と6部を行ったり来たりの状況。2008年の5部復帰後も、低迷は変わらなかった。
 そんな状況にOB会が動いた。昨年、これまで卒業生、OBがコーチとして指導していた体制をやめた。立命館大、三菱重工相模原、そして現在は日本IBMで選手を続ける西山淳哉氏をコーチに招いた。さらに、西山氏と親交がある元中央大監督の岩崎誠氏も加わった。
 この日、西山コーチは自分の試合で首都大の試合には立ち会えなかったが、岩崎氏は「基本スキルを鍛えた。パス、キャッチングなど。ベースができればここのクラスだと勝てる」と語った。

 下級生にいる有望選手の存在も頼もしい。NO8田村は東京都の全国大会常連・本郷高でレギュラー。3年生の時は予選で敗れ花園の道は絶たれた。関東大学対抗戦の強豪から誘われたが大学では生命科学(理系)とラグビーを両立したいと首都大へ。後半2トライのFB柳田も神奈川・桐蔭学園出身。二浪で首都大へ入学したので1年生だが、桐蔭の同じポジションに1年下で横山陽介(現・早大2年で11月23日の早慶戦でケガから復帰)がいたため1軍で出場できなかった。柳田も工業デザインを学びたいと首都大へ進んだ。
 試合後、円陣の中で稲葉主将は「(入替戦に)勝たないと意味が無い。あと3週間一人ひとりが伸ばしていこう。積み上げていこう」と鼓舞した。

(文・見明亨徳)

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