W杯8強入り逃したサモア 最終戦へ向け「負けるために来たのではない」
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1995年のラグビーワールドカップ以来、3度目の準々決勝進出をめざしたサモア代表だが、10月3日、日本代表に5-26で完敗し、プールBで4位以下が濃厚となった。これにより、プールAで4位以下が決まったフィジー代表とともに、2019年ワールドカップ日本大会はオセアニア予選から参戦することになりそうだ。トンガ代表もプールCで3位争いのライバルと見られていたジョージア代表に敗れており、もし残りのアルゼンチン戦とニュージーランド戦に連敗すれば、トンガもまた、2019年大会の自動出場権を逃す可能性がある。
サモアは日本のプレッシャーに苦しみ、反則とミスを連発した。イエローカードを受けたのは計3枚。前半には13人になった時間帯があり、日本にスクラムを押されてペナルティトライを与えてしまった。
「希望を持ってこの試合に臨んだが、最初から規律が悪かった。それでだんだんと苦労した」とスティーブン・ベサム ヘッドコーチ。「きょうのパフォーマンスについては失望している。我々もゲームプランを持っていたが予定通りにいかなかった。日本はテンポの速いゲームをした。それがうまくいった」と語った。
そして、「日本の躍進は驚きではない」とサモアの指揮官は言う。「日本は世界に追いついてきたんだ」。
長年サントリーサンゴリアスでプレーし、サモア代表の司令塔を務めるトゥシ・ピシは、日本代表が以前と大きく違うのは「セルフビリーフ」だと言った。「エディー・ジョーンズが引っ張り、練習もよくできていてやる気がある。特に南アフリカ戦でさらに自信を得て、きょうも80分間、それがプレーに出ていたと思う」。
子どものころから楕円球に親しむサモアの選手たちは、プロのラグビー選手になることを夢見、家族を楽にさせてやりたいと考える人が多いという。代表に選ばれる選手のほとんどはヨーロッパや日本などの海外クラブに所属していて、いずれもワールドクラスのプレーヤーたちだが、全員で集合して練習する期間は短く、今回も十分に実力を発揮できなかった。協会も運営や財政面で多くの問題を抱えており、強化体制が整っているとは言えない。
10月10日のスコットランド戦は、いわば消化試合となる。しかし、“マヌー・サモア”と呼ばれる誇り高き勇敢な男たちは、このまま帰ろうとは思っていない。
ベサム ヘッドコーチは日本戦後、「負けるためにここに来たのではない」とハッキリ言った。