死の組突破へウエールズが大きな3勝目! フィジーは意地見せるもプール敗退
サポーターの数とスコア。フィジーが負けていたのはそれだけだった。
テリトリーやボールポゼッションで劣勢でも、その時間はいっきに攻め上がるための時間だった。相手がボールを落とせば全員がすぐ反応。攻める姿勢をとり、トライラインにぐんぐん近づく。そしてスクラムも押した。勝てば、マン・オブ・ザ・マッチは1番のキャンピージ・マアフだったか。13-23の敗戦も、白いジャージーは7万1567人の観客を称えた。
死のグループと呼ばれるプールA。イングランドを倒して意気上がるウエールズと、すでに2敗してあとのないフィジーの対戦は、ホームで多くの声援を味方につけたウエールズがなんとか勝利を手にした。相次ぐ怪我人に、大会途中で招集された新鋭FBマシュー・モーガンの鋭い走りも輝いたが、勝利を呼んだのはハーフバックスだ。SHガレス・デーヴィスとSOダン・ビガーが要所で躍動した。
先制機を仕留めたのはSHデーヴィスだ。立ち上がりの時間帯。WTBジョージ・ノースの好走でフィジー陣深くに入ったウエールズは、ターンオーバーされて攻め返されるも、しぶとく攻撃し続けた。最後の扉を開けたのは6分過ぎ。ゴール前のラックからパスダミーでサイドを突き、インゴールに飛び込んだ。
最初から守勢にまわる時間が長かったフィジーも、少ないチャンスに攻め入り、なんとか食らいつき続けた。13分にSOベン・ボラボラがPGを決めて差を詰める。3-17と一時は差を広げられたが、37分にはスクラムを押し込んでPG。後半8分にはウエールズがノックオンしたボールをうまく使い、自陣から瞬時に攻め上がる。最後はCTBヴェレニキ・ゴネヴァがトライラインを越えて4点差に迫ってみせた(13-17)。しかし、最後の最後まで粘り続ける意思はあったものの、スコアできたのはここまで…だった。
ウエールズを勝利に導いた最大の功労者はSOダン・ビガーだ。先制した後はPGを決めて加点し、前半31分過ぎにはトライを呼ぶアタックをミッドフィールドで仕掛けた。4点差に迫られていた後半14分には右タッチライン近く、5メートルラインから少し内に入った位置から、40メートル以上のPG。点がほしいときに、必ず存在感を示した。
そして、隠れたファインプレーは後半23分頃だった。必死に攻め入り、フェーズを重ねていたフィジーの攻撃を寸断したのはこの人だ。相手の突進を膝下のタックルで倒し、後続選手のオフサイドを誘った。今大会に入っての好調は攻守で続いている。
勝ったウエールズのウォーレン・ガットランド監督もサム・ウォーバートン主将も、敗れたフィジーのジョン・マッキー監督、アカプシ・ンゲラ主将も、全員が「タフなゲームだった…」と声を揃えた80分。この試合を終えて勝者は勝点13でプールトップに立ち、ノックアウトステージへの進出を濃厚にした。敗れたフィジーはどの試合でもスタジアムを沸かせながらも勝点はいまだゼロ。残るウルグアイ戦で爆発したい。